フルマラソンで記録向上させるためには、走り方や姿勢を意識する必要があります。2000年以降、ランニングが流行り、さまざまな走り方や姿勢に関する情報が公開されてきました。
そうして、多くの人たちは走るときに「肩甲骨」や「太ももの付け根」といった体の部位を意識するようになります。ただ、人の走る姿勢を改善するには、意識の持ち方ではなく普段の練習方法を変える必要があります。
ここでは、怪我しにくく効率の良い走る姿勢を身につけるたった一つの練習法を解説していきます。
走る姿勢をキレイにする方法は「全力疾走」だけ
書籍やネットの情報を見ると、姿勢を良くする走り方が書かれています。「首や肩を動かさない」や「下っ腹を意識する」といった体の一部位を意識させたものです。
ただ、こうした方法は小手先のテクニックでしかなく、ほぼ全ての走る競技において、使うことができません。特にマラソンの世界では、こうした余計な意識はかえって姿勢の崩れや怪我のもとになります。
では、どうすれば走り方がキレイになるのでしょうか。その答えは簡単で「全力で走る」ことだけです。
これは、インターバルのような1km程度の距離を100%の力で出し切ることを意味します。ランニングにおいてキレイな姿勢を身につける方法はこれだけです。
なぜなら、キレイな姿勢で走るためには、体全体を使って走らなければいけないからです。練習では体全体の筋肉を活用する動きをする必要があり、そのための方法が全力疾走です。
1km6分程度のランニングのスピードで体全体を使うのは困難です。遅いスピードなら、最低限の筋肉の活用ですむからです。
全身の筋肉を使うように意識するためには、それだけ多く負荷をかけなければいけません。そうした一部分の筋肉を意識する暇がないくらいのスピードで走れば、自然とランニングの姿勢が強化されていきます。
多くの人は全力疾走では負荷がかかるために怪我をしてしまうと思いがちです。このとき、心配のある人は痛くならない程度で止めても問題ありません。毎日、体全体の力を使い切る習慣を身につけると、確実に負担のない走りができるようになります。
人に勧められて走るのではなく、自主的に全力疾走に取り組む
ただ、全力疾走には一つの弊害があります。それは、コーチや指導者に押しつけられて走ると大きな怪我をしてしまうことです。
人にいわれたり強制されたりしてしまうと、全力で走ることに意識が行ってしまいます。そうして走ること自体が目的になってしまうと、体が硬くなります。その結果、関節痛や肉離れなどを引き起こしてしまいます。人にいわれて全力疾走すると、逆効果に働く場合が多いです。
そうではなく、全力疾走をする目的を確認しなければいけません。
いくら頭で「首を動かさない」とか「肩をぶらさない」など思っても、本気で走ろうとすると意識できなくなります。すると、全力疾走の最中では、一つぐらいしか意識できません。走っている最中は、あまり考えない方が良いと自覚できます。
そして、全力で走るためには、いかに力を抜くことが大事かを感じることができます。力を抜いた方が筋肉はよく動くからです。特定の部位を意識すると、その部分が動きにくくなってしまうのです。そうして、体の無駄な力みを抜くことで、走る姿勢はキレイになってきます。
これらは自分自身で気づく必要があります。コーチに「無駄な力みが出ているぞ」と指摘されて、意識して直すのではありません。本気で走って無意識にこれらを思いつかないと、本当の意味で理解することができません。
全力で走るとは、走ることのあらゆる大切な要素を教えてくれます。しかし、こうしたものは自分の体験で気づかないと、走りに活かすことができません。
そのため、世の中では「全力疾走をすると怪我しやすいため、まず走る上で軸を意識しましょう」と教えます。しかし、考える余裕のある状態で軸を意識しても意味がありません。実際の大会では緊張したり疲れたりするため、頭で考えてきた知識が機能しなくなるからです。
知識でとらえるのではなく、体で体感しなければいけません。そのために、一心不乱に本気で走ることが重要になってきます。
世の中で知られている走り方の情報では走る姿勢は改善されません。そのために、自主的に全力疾走を取り入れてみましょう。体全体の筋肉を最大限に活用することができ、怪我しにくい、効率の良い走り方を身につけることができます。
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