方法を模索するとさらに上の動作を実現できなくなる

スポーツ選手はパフォーマンス向上のために、本の内容や情報を取り入れて体の動かし方を研究します。

その中で、自分の意見や考えを入れて具体的に良い方法はないのかと「模索」に徹する人は多いです。どうしたらよい動きができるのかと追及し続けることで自然と人は複雑に動きを勉強し、思考します。

こうした、模索をすると自分の考えが出てくるので、スポーツに対する思いが強まります。良いように聞こえますが、一歩間違えるとスポーツ時に高度な動きができなくなる可能性があります。

ここでは勉強をしすぎることでやってしまう「模索」の悪い点とスポーツ動作にうまくつなげる自分の意見の持ち方について解説していきます。

 深く突き詰めることによって生じる「自我」が動きを悪くする
勉強や知識によって、動かし方を模索し続けると、自分なりの考えが出てきます。本に載っている動きや内容に対して「私はこう思う」と持論を持つようになるのです。

自信を持っているため、聞こえは良いです。しかし、この「自信」が動きを悪くする原因になります。

人には400個の筋肉があると言われています。スポーツの動作では、1つや2つではなく、100個以上の筋肉が使われます。その時の精神や緊張状態によって、筋肉自体が緩んでいたりや硬直していたりします。

そのようなときに、「持論」で100個以上の筋肉動作を操作することは難しいでしょう。むしろ、その持論が限定的で複雑であればあるほど、実際の現象に差が出てきます。

人は勉強や知識に対して「こうではないか?あのようにしようか?」と模索することで、「ボールを投げるときは、ここをこうすればいいのか」という自分なりの言葉で動きを言語化しようとします。

例えば、投げるときの動作で「肘を高くする」「尻を押し込むように腰を動かす」といった、動かし方の答えを持っていたとします。

しかし、実際に投げるときの動作では、0.2秒間の間に40個以上の関連する筋肉が働きます。このような瞬間的なときでは、肘や尻を意識することはあまり意味をもちません。

さらにいえば、「意識」によって使いやすい筋肉とそうでない筋肉が分かれます。それにより、体の動かし方に変化が起きます。

例えば、「肘」を意識して動作を行います。そうすることで肘回りの動きは変わった感じがあります。しかし、肘を意識しすぎると「肩」に力みを生じます。すると、腰が上下にぶれやすくなります。こうして姿勢は、意識の片寄りによって少しずつずれていきます。

そうすると、あなたが意識してきた「肘」の意識を一度やめなければ、姿勢が崩れたままになってしまいます。しかし、自分の意見を持っている人はその感覚を持ったまま別の悪い部分を直そうとします。すると、余計にフォームが直りにくくなり、動作の質が低下します。

弓道の世界でも同様な話があります。あまり稽古をしないで、的を当てたいと思う人ほど、どうやれば真っ直ぐ飛ぶかと「拳の離し方」や「引き方」を研究します。しかし、弓の動作で10数秒引いている姿は、弓の抵抗力が体に最大限かかっている状態です。

この状態で「拳の離し方をどのようにしようか」と考えて当たるときはあります。しかし、常に的中するわけではありません。

常に的中させるため、そのような意識をとらなければ、さらに高度な動作をするためのキッカケをつかめません。
 
 自分の意見を取り去る方法
こうして、自分の意見によって、スポーツ動作が悪くなってしまう可能性があります。しかし、それを踏まえてどのように動きを考えていけばよいでしょうか。

そこで、自分の意見を取り去る方法を紹介します。それは、動いている最中に「動きで起こっている事柄」を実況中継で話すことです。

例えば、あなたがピッチャーだったとします。全てのスポーツの動作でいえることですが、動いている最中に自分の思いを交えて動作を解説しましょう。たとえば、あなたが速い球を投げるために本で「腰を使うことが重要」と知りました。それでは、腰を意識して動作し、その思いを中継しましょう。

「今、足を上げました。ここから大きく腰を前方におくるように、前に行きます。重心は沈むことが大切と言われてきたので、重心をさげるように腰を沈めます。そして、ズンとふんだあと、腰を出すようにします。そして、腰から腕をリリースしていきます。」

上記のようになります。ただ、自分の考えを中継をすると解説が長くなり、面倒くさくなります。

しかし、全てのスポーツ動作でそのようなことを考えている暇はありません。そのため、自分の考えは邪魔になるのです。それよりはシンプルに「素早く投げる」と決めた方が、かえって動きがスムーズになります。

このように、自分の意見を持つのをやめることで動きを行いやすくなります。自分の考えを持って練習することは、必ずしも良い方向に働くとはかぎりません。

スポーツの動作を勉強することは大切です。しかし、あまり模索しすぎず、よけいな考えを持たないようにしましょう。少しだけ触れる程度にして、考えをシンプルにした方が返って動きやすくなります。

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