バイクの乗り方には、「シッティング」と「ダンシング」があります。シッティングは座って乗るのに対し、ダンシングは立ちこぎになります。ダンシングは非常に用途が広く、加速や長時間の走行に使えるテクニックとなります。
ここでは、加速とスタミナを維持するための「ダンシング」について解説していきます。
ダンシングの種類を理解する
ダンシングはあらゆる局面で使われており、大きく分けると加速時とリラックスするときとの2種類あります。ダンシングは使わなくても速く走ることもでき、ステージレース狙いの選手はシッティングばかりで乗ることもあります。
加速のダンシングは小さなペダリング(ペダルの1~3時を強く踏み込むペダリング)で行い、頭を下げて、肘を曲げてコンパクトに行います。
次にリラックスのためのダンシングです。これは、頭を上げて、背中を伸ばすようにします。そして大きなペダリング(一周を常に力を入れ続けるペダリング)でこぐようにすると完成します。これは、ツール・ド・フランスで山岳の部で実績を残したトマ・ブォクレールが得意としています。
レースを見ていると、多くの選手が平坦な道であってもダンシングをしています。これは、レース中にリラックスするためです。長時間座ってこいでいるとお尻が痛くなってくるので、体のあちこちに凝りが出てきます。これらを緩和するために、立ってこぐようにします。
このように、乗り方には二つあることを理解し、レースに使用するとタイムがよくなります。登り坂では加速とリラックスに加えて、一定時間を一定速度で走るための走法としても使えます。この場合、大きいペダリングで行います。
ダンシングではサドルを左右に揺さぶられる
そして、ダンシングを行っているときは、サドルが左右に揺れます。プロのレーサーの走りを見ていると、ハンドルが動いているのがわかります。
これは、意図的に動かしているのではなく、ペダルを踏むことによってハンドルのねじれる力が出るからです。ペダルはクランクと呼ばれる部品とくっついています。クランクがチェーンを回しているギアの中心部にくっついています。この中心部についている部品をBB(ボトムブラケット)といいます。
ボトムブラケットは150mm程度の円筒状の棒の形をしています。ペダルを踏み、クランクによってボトムブラケットがねじれます。このねじれの力がBB→バイクフレーム→ハンドルと伝わり、ハンドルが左右に動くようになります。
これはペダルを踏み込む意識ではなく、ハンドルだけを左右に動かす意識が強くなると意味がなくなります。ハンドルを左右に動かすと両肩が動いてしまうからです。両肩がぶれると上半身の構造が壊れてしまうため、スピードが出なくなります。これは、ダンシングの全てに共通する考え方です。
そして、左右のブレは、厳密には左右だけではなく、泳ぐ魚のようにねじれが加わったようになります。なぜなら、「BB~ハンドル」までの揺れに比べて、ハンドルまわりの揺れは小さいからです。ハンドルの揺れはあくまでBBからの揺れに追従する程度です。
もし、加速のためのダンシングを行うのであれば、赤信号あけがチャンスです。ギアを下げずにストップします。すると、信号あけは重めのギアで発進することになるので、バランスを取りつつ走ることになります。すると、自然と小さいペダリングでダンシングできます。
バイクには、立ながらこぐ「ダンシング」という走法があります。ペダリングとそのときの姿勢を変えることで、加速したリラックスして走ったりすることができます。
コメントを残す