盗塁・ベースランニングに有効な「脱力走法」

「リードを大きくとる」「ピッチャーのクセを見破り、速くスタートを切る」・・・このような考え方があるために、盗塁やベースランニングで大切なことは「スタート」であると考えがちです。

ただ、野球のベースランニングで大切なのは「トップスピードに速く乗る」ことです。その理由は、スタートを素早くしようとすると力が入ってしまうからです。

陸上の短距離の記録と野球の走力は必ずしも相関しません。陸上ではスタートの合図がある程度予測できるのに対して、野球では、その合図を自分でいち早く読まなければいけません。速く読もうと思うほど、体が力んでしまうため、筋肉が緊張してしまいます。

筋肉が緊張してしまうと、筋力に頼ったランニングになってしまい、スピードが落ちてしまいます。ここでは、優れたべースランニングを身につけるために、加速をスムーズにする走り方について解説していきます。

 力を抜けば早くトップスピードに乗ることができる
走るときに、筋肉の緊張があれば、動作が鈍くなってしまいます。いち早く、トップスピードにするためには、スタートするときの筋肉の状態を理解する必要があります。

ここで、もっともはやくトップスピードにのるのはリラックスした状態です。全身の筋肉の緊張がほぐれた状態であると身体の動きがスムーズになるため、急激にスピードを上げることができます。そのスピードを維持するのにも、意識的には筋肉を使わないことが重要です。

走法において脱力するポイントは「スタート前」「スタート」「中間走」の三つに分かれます。最初の構えで全身の緊張を取り去って、トップスピードまで一気に加速します。

まず、スタート前は腕、身体の一部を軽く動かして、全身をリラックスしましょう。あまりピッチャーを凝視せずぼんやり眺めるような感じにします。

ジャイアンツの盗塁のスペシャリストである鈴木尚弘選手はスタート前は「口をあけて走る」ということをテーマにしています。これは、歯を食いしばって走ると力をロスしてしまうからです。

次に、スタート時です。走塁のセオリーでは低い姿勢からスタートしなさいと言われていますが、あまり低すぎると走りだしで上がってきてしまうため、力みが生まれやすいです。そのため、高すぎず、低すぎずの姿勢の位置を取りましょう。

そして、右肩と右ひざの力を落とすイメージで一歩踏み出すと脱力した状態でスタートできます。

そして、スタートを切ったら中間走になります。ここで重要なのは「膝をあまり高く上げないこと」です。膝を上げようとすると下半身に力が入るからです。中間走で大切なのは、股関節の動きにとらわれないことです。

下半身のことは何も考えずにただただ腕を振ることを意識しましょう。すると自然と股関節は動き、下半身がついてきます。このとき、腕を振るのも全力でやりすぎず、シンプルに振ることに徹して、少し余力を残しながら走ります。

 盗塁以外の場面で脱力走法を実践する
これは、盗塁以外でも実践することができます。例えば「1塁を駆け抜けるランニング」「2、3塁を駆け回るベースランニング」です。

ピッチャーの球を打ったとき、スイング後は下半身に力を入れないようにしましょう。下半身に力を入れるとスピードに乗りにくいからです。一塁は駆け抜けるスタート時は腕を振ることのみに徹しましょう。上半身がつんのめる感覚になり、早くトップスピードに乗ることができます。

次に、2、3塁のベースランニング時ではコーナーワークがポイントです。塁間の外側は91、4cmの範囲内で走るようにルールで決められています。ベースを回るときは外側を走るようにしましょう。顔や身体をゆるめて8割の力を走るイメージでベースを回ります。

このように、脱力させた走った方が筋力のロスなく、スピードが上がります。ベイスターズで活躍した荒波翔選手は実際に8割くらいの力で走った方がスムーズに加速できるようになったと話しています。

「リラックスした走り方の方が身体の動きに筋肉がついてくると手ごたえを感じた」と言います。脱力させた走る方が身体の動きがスムーズになり、加速が早く行えます。その結果、出塁、進塁の確率が大幅に高くなります。

筋力のみに頼ったランニングはスピードを落としてしまいます。盗塁・ベースランニングは脱力して走るようにすると、身体がスムーズに動くようになり、トップスピードに早く乗ることができます。

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