本に書かれた5つの「楽に走るコツ」の逆を行うと、楽に速く走れる

ランニングで、効率良く楽に走るためには、体の使い方が大切になってきます。そのためには、脚の筋肉や関節の使い方や意識の方法を学ぶ必要があります。

このあたりは、ランニングの書籍に多くの情報が記されていると思います。しかし、以下のことを意識してください。

・本に記された「走り方のコツ」と反対のことを行うと、楽に走れるようになる

よく、ランニングではこのようなことを解説されないですか?

・蹴るようにして走る
・股関節から脚を動かすようにする
・足先を真っすぐにそろえて走る
・丹田を意識して走る
・姿勢を真っすぐに伸ばして走るようにする

このような情報がありますが。一度疑ってみるようにしてください。全ての情報はあなたの骨格、関節に基づいて解説されたものではありません。あなたの身体にうまくはまれば、これらの情報は使えます。しかし、あなたの身体の骨格がはまらなければ、怪我をします。

あらゆる情報には、知っておかないといけない身体の事情があります。ぜひご確認ください。

蹴るようにして走ると怪我が多くなる

トップランナーの走り方を見ると、後ろ脚で蹴り上げるようにして走っています。このために、多くのランナーは、「蹴るようにして走れば早く走れる」と思いこみます。

確かに、後ろ脚で蹴るようにすれば、速く走れるかもしれません。しかし、身体の仕組みから考えると、「怪我が多くなる」リスクをもっています。

この理由として、蹴るようにして走ると「足指のつま先」に力が入ってしまうからです。この負担が積み重なると、太もも裏側の怪我のリスクが上がります。

足の指は、足裏全体についている「足底筋膜(そくていきん)」とつながっております。

足底筋膜は足首、膝とかけて太もも裏側にあるハムストリングスと解剖学的につながります。足底筋が張ると、太もも裏側の筋肉も連動して負担がかかってしまいます。

足底筋とハムストリングとつながりを持っているのは簡単な実験で体感できます。二つの方法によって、立った状態から上半身を前に倒す前屈運動をしてみましょう。一つは何も考えずにそのまま前屈を行います。次に足の指を握って力を入れて、前屈運動をします。すると、違いが表れます。

足の指に力を入れて前屈をすると、そうでない時に比べて、上半身が前に倒れません。つまり、体の柔軟性が低下します。なぜなら、足の指に力を入れると、太もも裏側の筋肉が張るからです。足指に力が入っていると脚全体が緊張し、怪我につながります。

蹴って走るように意識すると、脚が力むので、スピードが出ている感触は得られます。しかし、常に蹴るように意識し続けると、指先に負担がかかり続けて、太腿の筋肉がつったり痛くなったりします。

もし、「蹴るようにして走る」という言葉を意識しすぎてしまったら、それをやめることで、様々な痛みから解放されます。「足裏が痛い(足底筋膜炎)」や「長く走ると太ももがつりやすい」といった症状に悩んでいたとします。この問題は、「蹴って走る」ことをやめることで解消できます。

蹴るのではなく、前足を前に出し続ければよい

では、どうすればよいでしょうか。具体的な解決策は、「後ろ足を蹴る」のではなく「前足を前に出し続ける」ようにします。

前足が着地したとき、体重をあまり乗せないようにして、後ろ足を出していきます。そして、後ろ足が前に出てきたら、できるだけ前足を前に送ろうとしてください。すると、同時に後ろの脚にも力が入るのが体感できます。

この力は、「後ろ足で蹴り上げる」走り方と似ています。しかし、このような意識で走ると、後ろ足の指、足裏、太ももには力が入ることなく走り続けることができます。

前足を前に出すほど、その反作用によって後ろ足に力がこもります。この動きは、意図的に後ろ足に力をかけずに結果的に力が入ったものです。したがって、後ろ足をけるように走っていたときに比べて身体の負担は軽減されます。

もし、思うようにスピードが出せない人は「足をける」のではなく、「浮いている足を前に出し続ける」ようにしましょう。すると、地面についている脚に自然と力が入ります。

弓道の世界で知られる「後ろ足の「動」」の意識

ちなみに、この考え方は弓道の歩き方に基づくものです。弓道の教科書と位置付けられている「弓道教本」には、以下のように記されています。

踏み出した足にのみ気をとられ、後脚を引きずることのないよう、後ろ足に進む気持ち、すなわち「動」の気をもたせること (弓道教本一巻 「歩き方」の説明より)

弓道の世界では、歩き動作で踏んでいる足にも「動」の意識を持たせるようにします。しかし、これは本当についている足を動かすわけではありません。あくまでそのような意識を持たせることが大切です。

先ほどお話ししたように、「足指」に力が入らないように歩くことが大切です。そのためには、首の後ろを伸ばし、背骨を上方に伸ばして、全身で動く必要があります。そこで、弓道では、脚ではなく「腰」を意識して歩くようにします。

腰から動くことで自然に足関節もついていくようになります。つまり、歩く動作は、「脚」という一部の関節にとらわれず、全身を動かすように意識します。「脚」ではなく、全身を使うように意識すると、着物や胴着が不用意に崩れず歩くことができます。

そこで、同じようにします。例えば、左足を前に出す場合、「足先や膝を動かす」のではなく、「左腰骨と左腰を同時に前に出す」ように意識して歩いてください。すると、楽に前足が出て、後ろ足にも力が入ります。加えて、体が前に出たと同時に反射的に後ろ足が前に出るようになれば良いです。

うまく姿勢を正すと、足を自分で出すのではなく、「足が自然と出る」ように前に歩けます。

もし、「後ろ足に体重が乗る」感覚がわからなければ、走るときの歩幅を狭めて走ると良いでしょう。ランニングでの歩幅を狭くすると、腰回りが必要以上にひねったり、ねじられたりしません。すると、着地時の上半身がぶれにくくなり、脚への悪い影響が軽減されます。

弓道における歩き方を応用すると、楽に早く走ることも可能になります。

股関節に意識を置きすぎない

次に、ランニングの世界では、「走るときは股関節を意識して走りましょう」と言われます。

速く走るためには「ピッチ(脚の回転数)を上げる」ことと「ストライド(歩幅)を大きくする」の二つの方法が考えられます。その際に、脚の付け根から動かすように意識することで、歩幅が広くなり、スピードが上がります。このような理由から、ランニングで「股関節を意識して走りましょう」と言われることが多いです。

しかし、下手に股関節を意識して走ると、間違って身体を使ってしまい、怪我をしてしまう可能性があります。実際に、股関節を意識しすぎることで、走り方がぎこちなくなってしまう人がいます。この理由について詳しく解説していきます。

例えば、以下の動画を見ると、股関節を意識しすぎた結果、股関節の動きが悪くなる理由がわかります。

股関節を意識すると、股関節周りの筋肉が硬くなる

股関節周りには太ももの前側についている筋肉(大腿四頭筋:だいたいしとうきん)、おへその下の腸周りにある筋肉(陽腰筋:ちょうようきん)、お尻周りについている筋肉(大臀筋:だいでんきん)の三つとつながっています。この三つの筋肉が動くと股関節も動きます。

膝を動かすと、太ももの前側の筋肉が働きます。また、お尻を意識して動かすと腸周りの筋肉とお尻周りの筋肉が働きます。

このように意識すれば、確かにそこの筋肉だけ動かすことができます。しかし、このように、一部分の関節を意識すると、全体の姿勢が崩れます。その結果、無駄な力みや動作が出てきてしまい、結果として「ぎこちない走り方」になってしまいます。

実際にやってみましょう。股関節を意識して、「腰骨あたりを意識して動かす」ことや、「太ももの付け根あたり」を動かしてみてください。おそらく、大部分の人は走っている最中に両肩の線が水平からずれてくると思います。このような走り方は、無駄な動きが多く含まれているために、スピードも出にくいです。

このような問題が起こってしまう理由は、股関節の適切な使い方を間違えているからです。股関節を動かすためには、「脚の付け根」ではなく、「みぞおち」を使わないといけません。みぞおちから意識しなければ、無駄な動きが増えてエネルギーのロスやスタミナ低下が起こります。

股関節の本当の場所を理解していない

股関節は、英語で「Hip joint」と訳されます。この言葉の通り、股関節は「お尻」付近にあります。掌をお尻周りに動かしてみると、お尻の中で「くぼみ」があるのがわかります。ここが股関節であり、脚関節と骨盤をつないでいるところです。

つまり、「少しだけお尻」を動かすと、股関節を動かすことになります。そのため、太ももの付け根を意識しただけでは、お尻付近の筋肉はそこまで使われないことが想像できます。

このような誤解はスポーツの世界で多くあります。「股関節」と言われると、「お尻付近」意外の部位を股関節と考える人もいます。実際に、当サイト主催のセミナーで「股関節はどこにあるかわかりますか?」と聞くと、多くの人は「太ももの付け根」と答えていました。つまり、股関節の位置を具体的に理解している人は少ないと考えられます。

したがって、股関節を意識して動かそうとすると、無駄に太ももの筋肉も使ってしまいます。その結果、全体の姿勢が崩れてしまい、脚に痛める可能性が出てしまいます。

悪い股関節の動かし方、良い股関節の動かし方

では、実際に股関節の中でも「悪い股関節の動かし方」「良い股関節の動かし方」がありますので、体感してみましょう。

まず、3メートル先にゴール地点を設けて、歩き動作で「太腿の付け根」を意識して歩いてみてください。少し腰をくねらせるようにすると脚全体が動きます。すると、身長170センチ程度の方であれば、そのように太ももを意識して歩くと、3歩半~4歩程度でゴール地点に到達できます。

一方、良い股関節の動かし方を考えていきます。首の後ろを上方に伸ばし、背筋を伸ばします。次に、歩くときに、「太もも」「腰」を意識せず、「頭を上方に伸ばし続ける」ことを意識し続けてください。そして、目線を4メートル先を意識すると、体が前方に動きます。この意識を変えないで、歩き続けてください。

すると、後者の歩き方の方が、ゴール地点に少ない歩数で歩けるのがわかります。つまり、太もも、腰など股関節周りを意識しないほうが、楽に早く走れるのです。

この理由は、股関節は、上半身を伸ばすことで自然と使われるからです。

太ももと股関節を意識して歩くと上半身の姿勢が崩れてしまい、このブレを抑えようとして、背中や腹部の筋肉が無駄に力みます。すると、股関節周りをつないでいる筋肉も連動して緊張し、かえって脚の動きを悪くします。その結果として、もっと楽に大きく歩けるのに、「大きく歩けない歩き方」になってしまうのです。

一方、首の後ろを伸ばし、目線を少し下げて自然と「前に動く」ようにしたとします。すると、上体を伸ばすことで、背中の筋肉が伸ばされるため、腰回りの筋肉も動きます。このように、背中が伸びることで、おしり周りの筋肉が動き、結果的に太ももの付け根が動くのです。

このように動かすと、太ももや股関節に無駄な力みや意識がなくなるために、自然と脚を動くだけでなく、上半身の無駄な力みを抑えられます。先ほどお話ししたように股関節周りのお尻の筋肉だけが動くようになるのです。

つまり、脚を意識して、股関節を動かしていると、脚に力が入り続けます。しかし、背中を伸ばして、おしりの筋肉を動かすことができれば、脚の筋肉に力を入れずに脚を動かせます。このように、別の体の部位を意識することで、使いたい筋肉を活用すると、より自然に体を動かすことができます。

自然に股関節を使うために必要な古来弓道の教え

弓道の世界では、「弓を引く際は、「気縛なきこと」」(梅路見鸞 「心月謝儀」より)という文章があります。気縛とは、動作している最中の「特別な意識や考え」を指します。

弓を引く際に、「左手に力を入れて弓を押そう」と考えたとします。脳の命令、神経系の電気刺激を介して、左の親指付近の筋肉が優先的に使われます。その結果、左手に弓の反発力が強くかかり、弓が押せなくなります。

弓を引く際は、できるだけ全身の筋肉を活用し、かつ一部分の筋肉に意識やとらわれのないように引かなければいけません。なぜならば、特定の部位に力や意識を置いてしまうと、その部位に弓の反発力が集中しがちだからです。したがって、弓道家は「別の筋肉や関節を意識して、結果的に左手で強く押す」ように考えます。

そのようにすることで、一部分に強い負担や緊張がかかることなく効果的に身体を活用して弓を引けます。

この考えをランニングに応用してみます。これまでお話しした通り、脳の構造上、「股関節」を意識すると、股関節周りの筋肉が緊張します。すると、股関節周りの筋肉を柔軟に動かしにくくなります。

そこで、別の筋肉を意識します。股関節を活用したければ、「頭部を伸ばす」ようにしてください。すると、股関節周りの筋肉を柔軟に働かせることができます。

足の向きを真っすぐに平行にそろえすぎると怪我をする

次に、ランニングの世界では、「足の向きを真っすぐにそろえると怪我が少なくなる」という情報があります。足先の向きをそろえることで、走りやすくなり、膝の負担が軽減されるというのです。

例えば、走っているときに膝の皿が内側に向いていたとします。すると、膝の内側と外側で着地したときの負担が不均一に感じます。したがって、膝の皿を左右ともに真っすぐに向けるためには、足先の向きも一緒に真っすぐにそろえる必要があると解説されます。

しかし、上記のように考えたとしても、怪我を改善することができません。それどころか、「足先を真っすぐに向けたほうが良い」という考えにとらわれた結果、膝の負担は軽減できず、かえって怪我をしてしまう危険さえあります。

足先と膝の向きは揃えないほうが合理的である

理由は、人によっては、足先を真っすぐに向けたとしても膝関節の向きが真っすぐに向くわけではないからです。

人によっては、足先を真っすぐに向けても膝関節の向きがそろわない場合があります。例えば、私は足先を真っすぐに向けると、右膝をよく負傷します。なぜなら、私の脚は足先を真っすぐに向けると右膝関節だけ内側に向きすぎるからです。

人によっては違う骨格を持っている場合があります。足先を真っすぐに向けると、両ひざ関節が内側に入りすぎてしまう人もいます。これは女性に多く、膝関節を怪我しやすいです。

なぜ、このように人によって骨格が異なるのでしょうか?それは、日常生活における生活癖やストレス、運動習慣によって、骨盤の角度が異なるからです。骨盤が前や後ろに傾くと、太ももの骨が連動して内や外側に入ります。

したがって、足先を真っすぐに向けても、土台となる骨盤が垂直に立っていないため、膝が真っすぐに向きません。したがって、足先を真っすぐに向けても、膝関節がそろわないのです。

私はスポーツ選手を指導する経験に合わせて、身体をケアする治療活動も行っています。これまでの治療経験からすると、男性、女性ともに足が内向きに向いており、骨盤が前傾の傾向があります。中にはこのような女性もいました。

エステ関係で仕事をされている女性の身体を見る機会がありました。その方の要望として、「脚に脂肪がつきやすく、脂肪吸引して脚をほそくしたい」とお話ししたのです。しかし、その女性の足の向きを確認してみると、足が内向きに向きすぎていたので、「足の向きを変えて、お尻を締めれば、脚が細くなりますよ」とアドバイスしました。

そのお話の通り、その場で立ち姿勢を「足を内向き」から、「外向き」に変えてみました。すると、身長が1センチ伸びて、脚の太ももの太さが目立たないようになったのです。このような事情からも、女性が走ったり、歩いたりする際に、「足をまっすぐに向ける」ことはおすすめできません。

骨盤が前傾しているかどうかは、あおむけ姿勢での腰の反りでわかります。あおむけに寝て、背中と床の間が手のひら一枚入らない、もしくは0.5枚程度入るくらいの隙間であれば骨盤は前傾はしすぎていません。しかし、掌が簡単に入るほど隙間が空いている場合、腰が反りすぎて背筋が張っています。膝関節を怪我する危険があります。

よくテレビでは、「骨盤は前傾しているほうが胸が開き、良い姿勢」と言われます。しかし、この情報はあくまで、「運動中に」「自分で意識せず」「自然と少しだけ」前傾していれば有利という意味です。普段の生活からずっと腰が反り続けている場合、その姿勢を改善しないといけません。

適した骨格を物理的に考えてみる

人の脚は股関節の真下についているのではなく、ななめ下についています。そして、股関節について太ももの骨が内に向けば骨盤は前傾し、外に向けば後傾します。

立位の姿勢の場合、斜め下に股関節がついているため、足先をややななめに向けたほうが上体は安定します。実際に、モデル、スチュワーデスの立ち姿勢を見ると、すらっと伸びた印象に見えるのは、彼女たちの足先が少し斜めに向き、骨盤がほぼ垂直に立った状態になっているからです。

さらに、弓道の世界でも、立ち姿勢は両足を開きます。なぜなら、足を開くと、おしりの筋肉が締まり、骨盤の位置が安定するからです。特に、強い弓を活用するときは、意識的に両足を開いて、弓を引くことを意識しなければいけません。そのようにすると、骨盤も垂直に立ち、猫背も抑えることができます。

そして、ランニング中は身体を前方に送るため、上体全体がやや前傾状態になります。このため、骨盤が少しだけ前傾するため、「真っすぐに近い斜めに向いた状態」が適した骨格です。

実際に、トップランナーの足先の向きを確認してみましょう。おそらくほとんどの人が足先が「少しだけ外側」に向いていることがわかります。

足先を外側に向けると、骨盤を垂直に立てるための「外旋筋(がいせんきん)」群」が働きます。ざっくりいうとお尻の筋肉が働き、骨盤が垂直に立ちます。これにより、着地の際に、骨盤が前に倒れすぎるのを抑えることができます。常に上体を真っすぐに伸ばした姿勢を維持するため、土台となる骨盤を立てる必要があります。

ちなみに、私はウルトラマラソンを走っている最中に右足の太ももか膝が痛む予感や予兆がわかります。その場合、右ひざだけ外側に向けて走ることをします。足先だけ見ると、右足だけ開いています。しかし、膝の向きが両方ともまっすぐにそろい、楽に走れます。しばらくすると、太ももと膝の違和感が消えるのがわかります。

真っすぐに向けたければ、土踏まずのラインが真っすぐになればよい

ただ、ここまで読まれても、足先は真っすぐに向けたほうが良い気がする人がいるかもしれません。その場合、「足先まで平行に向ける」のではなく、「土踏まずのライン」を真っすぐに向けるように考えましょう。

土踏まずのラインとは、上から足の甲を見て、内側の部位を指します。このラインを真っすぐに向けるようにします。すると、足先を真っすぐに向けようとしなくても重心移動がしやすく、走りやすいのが体感できます。

「足の甲の骨」と「足指先の骨」は必ずしも真っすぐにそろいません。足指先はその人の骨格にもよりますが、真っすぐに伸びているわけではなく、少し外側に向いている人もいます。女性の場合、「外反母趾(がいはんぼし)」の人の場合、足先を地面に真っすぐに向けるのは極めて困難です。

足先までまっすぐにそろえようとすると、ふくらはぎ、太ももに無理が出ます。特に、男性は脚の筋肉や関節の柔軟性が女性より比較的低いです。したがって、足先をまっすぐに向けようとすると、脚の関節にひねるすぎる結果となり、怪我に繋がります。

足先と膝の向きはそこまできちっとそろえる必要はありません。その人の骨格によって、最適な向きがあります。まずは、体の仕組みから考えて、「少しだけ外側」に向けて走ってみましょう。

丹田は意識しすぎないほうが良い

ランニングにおける意識として、「丹田を意識しましょう」と解説されることもあります。例えば、以下のURLなどには「丹田」を意識する重要性を開設しています。

https://www.otsuka.co.jp/a-v/midori/running1/

丹田とは「下っ腹」を指します。実際にそういう器官があるわけではなく、漠然と下っ腹まわりの空間をさします。長年ランニングをしている人は「お腹に力を入れて、丹田に意識を置く」と説明します。スポーツの指導の現場でも、「丹田を意識して」と解説されることはあります。

しかし、この言葉にも真に受けずに、「丹田」は意識しないものと解釈するようにしましょう。

ランニングで疲れてくると、胸周りが緊張してきます。すると、走っているときの胸や肩などの体の上部の筋肉が縮み、意識が「上」に行き、姿勢が崩れてしまいます。そこで、なるべく意識を下半身周りにおくために、下っ腹に力を入れると指導さて、丹田を意識するようにするのです。

ただ、このように意識しても、下腹以外の筋肉も緊張してしまうため、上半身以外の筋肉を力ませてしまうだけの結果になってしまいます。そこで、違う方法で丹田を意識できる姿勢を取ります。

具体的には、上半身の無駄な力みを取ってください。首の後ろを伸ばし、両肩を落としてみてください。すると、上半身の無駄な力みを抜けて、自然と体重が下腹に乗り、自然と丹田を「意識される」姿勢になりませんか

このように、自分で意識して固くするのではなく、結果的に丹田が固くなるように他の部位を動かすのです。

もし、走っている最中にリラックスした状態を感じられなくなってきたら、姿勢が崩れてきているサインです。そのときはもう一回首を伸ばし、肩を落とし、上半身の無駄な力みを取りましょう。そうすると上半身の体重が正しく乗り、下っ腹周りに自然と意識が行くようになります。

丹田という言葉にとらわれて、お腹を意識すると、余計な力を入れる結果になりがちです。そこで、上半身の無駄な力みをとるように意識し続けてください。それで、自然と下っ腹まわりを意識できる走りになります。脚や背中の筋肉を自然に働かせて、無駄な力みなく走ることができます。

「姿勢をまっすぐに伸ばして走る」という情報も体格による

次に、姿勢をまっすぐに伸ばして走るという情報もあります。この内容も一見正しそうに見えますが、すべての方に合う情報ではありません。

結論からお話すると、太っている方の場合、姿勢をまっすぐにしようとすると背筋がきつく力み、痛みます。やせすぎている人が姿勢をまっすぐにしようとすると、胸が前方に出過ぎた姿勢になりやすいです。

理由は次のように説明されます。太っている人はおなかの前に脂肪がついているため、背骨が前方に出て、反腰体型になりやすいです。このような人が背筋を真っすぐに伸ばそうとすると、腰部の背筋が強く緊張してしまいます。

この場合、少し目線を下がるように意識します。目線を下げて、首の後ろを伸ばすようにします。すると、背筋の負担が減ります。太っている人の場合、腰が反りやすいことを考慮に入れて、目線を下げて顎を引くようにします。

次に、やせている人は胸が前方に出やすいです。姿勢を伸ばそうとして、胸が前に出ると、お尻が後方に出た「出尻姿勢」になります。

この場合、鍵は「膝」にあります。出尻鳩胸姿勢になると、膝は自然と曲がってきます。自分の体の重心を上げるつもりで膝を伸ばす意識をもってください。すると、膝関節が伸びると同時に、前に出すぎた胸を抑えることができます。

私自身、体がやせているので、後半で「姿勢が崩れてきたな」と感じたときは「膝」を疑います。膝を少し伸ばすようにすると、ふとももの張りが軽減されたり、脚運びがしやすくなったりします。走っている途中で姿勢を改善することができるのです。

やせている人は、姿勢の崩れは膝からくることを意識するようにしましょう。膝を少し伸ばせば、上半身の姿勢が大きく改善されます。

やせている人は「膝」が曲がっていないかを意識し、太っている人は目線に注目しましょう。そうすれば、ランニング時の姿勢の崩れを防ぐことができます。

本や写真で勉強すると解釈を間違える理由

このように、本や情報に書かれた言葉や内容をそのまま受け取って、走り方を間違えることはよくあります。この理由は、本に記された内容は、写真などの止まっている画像から共通点を抜き出したり、動画などの動きを見て、分析するからです。

本の知識や情報自体は間違っていないのです。また、写真からその走りの特徴を見て、理解できる内容もあります。例えば、トップランナーの走っている動画から、効率的な骨盤の最適の向きや腕振りの角度などわかります。

写真で見るとイメージしやすいし、わかりやすいです。キレイな姿勢を見ると、それが答えであると錯覚し、自分もその姿勢で走りたいと思います。そして、その姿勢になるために必要な筋肉を鍛えたり、関節の向きを意識したりします。

しかし、写真でみられるランナーの動きは「止まっているため、実際に活用している筋肉や意識している関節の部位まではわかりません。

例えば、400Mのアジア記録保持者である高野進選手は、へそ下周りについている「腸腰筋」が一般人より発達しています。そのため、早く走るためには腸腰筋が重要だと言われてきました。

しかし、本人は走っているときにへそ下周りを意識して走っていないと話していました。特別にその部分を鍛えたわけではなく、自然と腸腰筋がついてきたようです。つまり、写真をみて、「腸腰筋」が重要だと絵でわかったとしても、それを働かせるための体の使い方はわかりません。

つまり、知識としてランニングで腸腰筋が大切わかっていても、実際の走りに活かすことはできません。内容が部分的で、実践的に考えられていない知識はランニングに悪影響を及ぼす可能性があります。

適した走り方・腕や脚の動かし方は写真や動画を見ただけではわかりません。そうして、その情報の本当の意味を知らずに、そのまま取り入れてしまうと、間違った体の使い方をするようになります。

これと同じことが弓道の世界でもいえます。うまい人の引いている写真や引き始めの姿を写真に撮り、そこから右拳・左拳の位置や向き、拳の形の最適な位置を討論し、研究されています。しかし、その位置に収めるための拳の軌道や動かし方は詳しく研究されていません。

そうすると、見た目はキレイでも内面をおろそかにした、不自然な射形になってしまいます。しかし、その射形にならないと審査では減点されてしまったり、指導者に注意されたりしてしまいます。

審査や言われてことにとらわれて稽古をすると、見た目には文句を言われない射形にはなります。しかし、体の筋肉をうまく働かせることができません。その結果、数か月後には的にはあたらないどころか、肩を怪我してしまい、弱い弓しか引けなくなる事態が起こります。

いくら見た目で均整がとれていて美しくても中の筋肉に凝りや力みがあると、実際には思ったとおりにいきません。そのため、見た目だけではなく、より深い内容を勉強する必要があります。

以上の内容を理解すると、あなたはより走り動作を楽に早く行えます。

・「蹴る」意識をもって走ることをやめる

・股関節を意識して走ろうとするのをやめる

・ランニングで足先をまっすぐに向けようとするのをやめる

・無理に下腹を意識するのもやめる

・太っている人、やせている人で姿勢の正し方を変える

このような意識を持つことで、楽に速く走れます。本の内容をそのままとらえるのではなく、その人の骨格に合わせることを意識して走るようにしてください。

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