一流選手を見ると、体の仕組みを理解し、適切なトレーニング方法を実践しています。
例えば、メジャーリーグで世界の数々安打記録を更新し続けてきた選手として「イチロー選手」がいます。
そこで、今回はイチロー選手を例に、一流選手が運動技術を向上し続けてきた理由について解説していきます。
動きを良くする「初動負荷トレーニング」とは
スポーツ動作を行うときに、筋肉は緩む弛緩(ゆるむこと)ことと伸張(伸ばされること)が繰り返し行われます。
もし、運動中に肩に力が入ってしまったり、力んでいる場合、ゆるむことと縮むことの運動のリズムが崩れてしまいます。
そこで、筋肉の反射運動と適切な運動のリズムをスポーツに活かすために「初動負荷トレーニング」を行います。
初動負荷トレーニングとは、筋肉の動作の最初に負荷がかかるように特定の運動動作を行うことです。
例えば、曲がっている腕を伸ばすとき、最初に腕が曲がっている状態から、伸ばそうとするときが「初動」とします。次に、腕を伸ばし切った状態が「終動」とします。
すると、曲がった腕を伸ばそうとするときに負荷をかけた場合、初動負荷の運動となります。
もしも、ダンベルを持って伸ばそうとすると、初動から終動にかけて常に腕の筋肉に負荷がかかります。
すると、筋肉を固めた状態で動作を続けることになり、スポーツにおける動きが悪くなってしまいます。
そこで、初動負荷トレーニングでは、専用の器具を用いて理想の「ゆるむ」-「のばす」運動を実現させます。これにより、筋肉に最適な収縮運動を覚えこませるようにします。
何回か最適な運動を繰り返すと腕や脚を動かしやすくなり、スポーツ技術が向上します。
イチロー選手はメジャーに行く一年前にこのトレーニングを取り入れ、打つ、走る、投げる技術を高めることに成功しています。このように、初動負荷トレーニングはスポーツの世界では注目されているトレーニングと言えます。
初動負荷トレーニングは必要か
ただ、この初動負荷トレーニングには、デメリットが存在します。
その一つとして「価格が高価であること」です。
実際に初動負荷トレーニングを一般人が取り入れようとすると、月に1万円程度かかります。そして、トレーニング機器を使わなければ、元の姿勢や筋肉の状態に戻ってしまうため、怪我をする可能性があります。
実際に、私もマラソンの記録向上のために、初動負荷トレーニングを使っていた時期もありました。最初は固い身体が柔らかくなり、前屈運動が行いやすくなりました。
しかし、辞めて使わなくなった理由として、「武道を本格的に勉強した」ことがキッカケでした。まず、筋肉を柔らかい状態を作ったとしても、実際のスポーツで理想の状態を維持できるかは別問題です。
いくら柔軟性の高い筋肉を身につけたとしても、もともとの走り方や運動の仕方が変わらない限り、固くて動きにくい体に戻ってしまいます。
その場合、普段の姿勢や歩き動作で体の仕組みを勉強して、筋肉に余計な負担のない歩き方や立ち方を勉強する必要があります。
単純に身体をやわらかくしたいのであれば、自宅や一人で腕や脚を動かしやすくする手法が
武道に存在します。
それを毎日行うだけでも、普段の身体の柔軟性は全然異なります。私は、そのように武道を通じて筋肉に余計な負担をかけない歩き方や座り方を続けた結果、腰や肩に余計な力みがなくなっていきました。
そうして、初動負荷トレーニングの器具を使っても「身体が気持ちよく伸ばされる感覚」がなくなってしまったのを体感しました。
今では、家にある数百円の器具を使ってスポーツや武道の動きに大切な筋肉を理解し、自分で筋肉をゆるめることを行っています。
世間では、柔軟な身体を作るためのメソッドや手法が数多く紹介されています。しかし、スポーツを行う上で大切なのは、そうした柔らかくした身体を器具を使わず自分で活かす手法ではないでしょうか?
もし、あなたが今よりもスポーツ動作をより良くしたいのであれば、器具に頼って体を柔らかくするだけでなく、自分自身で身体をゆるめる方法を実践していく必要があります。
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