嫌な感情やトラウマの本質を探れば試合中のプレッシャーに負けない

スポーツにおいて、試合プレッシャーで負ける人はたくさんいます。実力がある人でさえ、試合になるとプレッシャーで硬くなってしまことが多いです。

こうした、緊張してしまう原因に「過去の結果」があります。過去に大きな失敗を経験した人は、同じ試合の状況でそのことを思い出してしまいます。すると、試合中に嫌な気持ちに包まれてしまい、思う通りのプレーができなくなってしまいます。

ここでは、過去のマイナスな感情によって、試合で緊張しない思考の整理法について解説していきます。

 過去の嫌な感情を分析すると、緊張してしまう理由がわかる
例えば、あなたがかつて大きな舞台でぼろ負けしてしまったとします。すると、頭の中で「大舞台は嫌だ」と無意識に思うようになります。

ここで、嫌な感情を頭の中にとどめるのではなく、そう思ってしまう「理由」を分析してしてみましょう。

人が過去の結果にとらわれてしまうは、なぜそうなったのか自己分析でいていないからです。過去に起こった出来事とあなたが苦しめている事を考えていくと、嫌な感情の本質が見えてきます。

例えば、ここではメンタルトレーナーとあるテニスプレーヤーと交わしたやりとりから、嫌な感情の原因の探り方を見ていきます。

選手:「全日本選手権は嫌です」
トレーナー:「そこまで嫌なのですか」
選手:「あの雰囲気に慣れません」
トレーナー:「雰囲気の何がマイナスの感情にさせますか」
選手:「お客様が多いじゃないですか」
トレーナー:「お客様が多いとプレッシャーですか? オーストラリアの試合もお客さんが多いですよね」
選手:「いや、海外は違います」
トレーナー:「では、本当の問題なのはお客さんの多さではないですよね。何が嫌なのですか」

このように、何が悪いのか1つずつ調べていきます。苦しめているものをより具体化していくイメージです。

この例にあるように、人は嫌な感情の理由を本当の意味で理解できていません。そのため、自己分析は非常に難しい作業です。特に過去の縛られた原因というのは、トラウマによる体験によるものが多いのです。

一人で原因を探ろうとするとネガティブな感情をぶり返すことになるため、本当の理由を見つけるのは難しいです。

そのため、過去の結果に対する自分の感情を分析するときは、トレーナーのサポートを受けたりノートに書きだしたりして、なるべく客観的に考えるようにしましょう。話したり具体的に書き出したりすることで、何が原因で嫌な感情が出ているのかに気づくことができるでしょう。

 過去のトラウマは自分の思い込みであると理解する
そうして、自己分析を続けていると、過去の結果から、嫌な感情が出てしまう原因がより具体的になります。

さきほどのテニスプレーヤーの例でいくと、暑い日に全身痙攣が起こることで悩まされていました。話を聞いていくと、全日本選手権トラウマになった理由は「試合中に痙攣(けいれん)で倒れる不安」であることが原因のようでした。

さらにその要素に対して、なぜ不安に思ってしまうのかを分析してみます。「痙攣で倒れると不安な気持ちに襲われる理由を探ります。

トレーナー:「最初に全身痙攣になったのはいつですか」
選手:「中学の時です」
トレーナー:「その時にどのようなシチュエーションでなりましたか」
選手:「暑い日に練習のし過ぎで水を飲むのを忘れていました。それで、全身痙攣を起こしてしまい、救急車で運ばれました」
トレーナー:「その時、何が一番嫌でしたか」
選手:「コーチに怒られたことです。『だからお前はだめなんだ、気持ちが弱いからそうなるんだ』と言われました」
トレーナー:「それが原因ですね」

このようにさらに深く分析すると、痙攣で不安になる理由は、コーチに怒られたことによるものだったとわかります。コーチに言われた言葉によって、痙攣に対して極度の不安を覚えてしまったのです。

このように、体の状態が痙攣をおこす状態でなくても、起きてしまったときの感情に包まれることを「予起不安」といいます。

過去に起こした経験が「悪い感情」とリンクしていると、たとえ万全な状態で試合に挑んでも、「また痙攣を起こして、嫌なことが起こったらどうしよう」という気持ちになってしまいます。その結果、不安な気持ちによって再び全身痙攣を起こすようになります。

 自分の思いこみを書き換えることで、過去のトラウマは消える
このように、人は心の中で不安な気持ちを持っていると、現実もその通りになってしまいます。そこで試合中に緊張しないためには、「過去の経験が不安とリンクしている状態」を改善する必要があります。

そのためには、自分の思いこみを書き換えてみましょう。つまり、「過去の経験 →不安」という思いこみを自分の中で変更するのです。

痙攣が原因であれば、予防のためにあらゆる準備を試合前にできます。原因を科学的に分析して、対策することができます。気持ちが不安になってきたら、それを軽減するようにイメージトレーニングすることもできます。こうした準備によって不安やプレッシャーを取り除くことができ、過去の経験を不安と別の感情に組み替えることができます。

先ほどの選手の場合であれば、専属トレーナーを雇って、いつ痙攣をおこして倒れても大丈夫な環境を作りました。

さらに、暑い日にはトレーナーに見てもらいながら練習をしました。本当に痙攣の症状が出始め、手足が冷たくなり、不安な気持ちに襲われてくるようになったら、深呼吸を繰り返し、トレーナーに手足を温めてもらうようにしました。

すると、痙攣による思い込みが薄れてきたといいます。無意識による脳の思い込みから、実際のトーナメントでも試合中に痙攣の症状が出はじめたものの、自分でイメージトレーニングをして試合に戻ることができたのです。

その結果、試合に勝ち、トーナメントで優勝しました。その日以来、全身痙攣は出なくなりました。このプレーヤーが2005、2006年と、全日本選手権で連続優勝の快挙を遂げたテニスプレーヤーである岩渕聡選手です。

このように、過去は無意識のうちに自分のなかにあるものです。自分の思い込みによって、過去の物語をネガティブなイメージに作り上げてしまうことがあります。すると、その気持ちに支配されて、メンタルが崩れてしまいます。

その場合は、トラウマを引き起こした原因を探ってみましょう。具体的に嫌な本質をつかみ取ることができれば、解決の手口を見出すことができます。

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