スポーツ動作の改善やけがの防止に繋がる「筋膜」の話

スポーツで怪我しないために、ストレッチをすることは大切です。しかし、筋肉や関節のストレッチをしても怪我をする人がいます。

このような人は今行っているストレッチを行うのをやめ、別の体の部位をほぐす必要があります。そこで出てくるのが「筋膜」です。

「筋膜」という言葉は、鍼灸の世界から普及し始めたものです。この筋膜の状態を整えれば、関節の可動域を高めることができます。それによってスポーツで動きやすい体を身につき、怪我を克服することができます。ここでは筋膜の基礎知識と具体的なほぐし方を紹介していきます。

「筋膜」とは
筋膜とは筋肉を包んでいる膜で、「ハムを包んでいる皮」をイメージすると理解しやすいです。筋膜は、伸び縮みするたびに形が変わる筋肉を支えると同時に、近隣の筋肉との摩擦を減らして筋肉の動きをスムーズにする役割を担っています。

筋膜は筋肉とつながっており、機能しているときは弾力性があります。反対に、機能していないときは、硬くなって筋肉とくっついています。これを癒着(ゆちゃく)といいます。癒着が起きると、関節の動きが悪くなって怪我しやすくなります。

そのため、固くなった筋膜を元の弾力性のある状態に整えることで、本来の関節の動きを取り戻すことができます。筋膜をほぐすときは、筋肉や関節を伸ばしたり動かしたりしません。全く別の体の整え方と考えてもよいでしょう。

ストレッチを適切に行ってもも、怪我をしてしまう人はたくさんいます。スポーツの世界では「怪我の予防するために筋肉をきちんと伸ばしましょう」と説明します。それでも故障をしてしまうかは、筋膜の観点から説明することができます。

それは、筋膜が硬くなってしまうと、いくら筋肉に柔軟性があっても癒着を起こして動きが悪くなってしまうからです。そのために、ストレッチを行っても思ったより効果を得ることができません。

筋膜が硬いままではいくら筋肉を柔軟にしても、活かすことができません。あなたが柔軟体操をやっても怪我を防ぐことができなければ、筋肉や関節ではなく、筋膜を見つめ直すことが体のケアにつながります。
 
 「筋膜」をマッサージするための3つの注意点
筋膜マッサージでは筋肉を伸ばすわけではないので、やるときの注意点がいくつかあります。

・痛い部分を押すときは、「押す」のではなく「圧迫させる」
マッサージを行うため、怪我しやすい部分や違和感のある部分に手を当てます。このときに、強く押しすぎないようにしましょう。

その理由は、筋膜は体の中間に存在するからです。試しに自分の腕を触ってみましょう。軽く触れると皮膚の下にある柔らかい部分にあたります。これは、表面についている「脂肪」です。

次に指圧するときのように強めに腕を押してみましょう。すると、ある程度のところで指が腕の中に入らなくなり、固いものを感じます。これは、体の中にある「筋肉」です。

今度は、適度な力で圧迫させるように押すと、柔らかくもなく固くもない触感の場所を見つけることができます。この「脂肪」と「筋肉」の間に筋膜があります。このように軽く押すと筋膜に触れることができます。

強く押すと筋肉を触ってしまうため、筋膜マッサージをするときは、指圧のように強く押すのではなく、微妙な力加減で圧迫させるようにすることが大切です。

・90秒以上押し続ける
筋膜に触れることができたら、その柔らかい触感の中で固くなっている部分があるはずです。これが、筋膜が硬くなっている箇所です。自分がとくに怪我をしやすい場所や、疲れやすい体の部位に注目して手を当ててみましょう。

筋膜をほぐす方法は、ただ押してあげるだけです。自ら指先でいじったり、必要以上にもんだりすることはしません。少し圧をかけると、ゲルのように動きが悪くなった筋膜が少しずつ元のゴムのように弾力性のある状態に戻ります。

筋膜は筋肉の血管や関節の動きをよくする潤滑液のような「柔らかくするために必要な物質」がありません。そのため、直接圧をかけた状態で保たないと、筋膜をほぐすことができません。そのため、柔らかくするためには90秒以上かかります。

筋肉の柔軟性を高めるためには血流を良くする必要がありますが、筋膜は軽く圧迫し続けたら柔らかくなってきます。そのため、自然治癒のようなイメージで弾力が戻ってくるまで待つように心がけましょう。
 
・押した場所が柔らかくなったら、少しずつ患部を移していく
時間をかけて圧迫すれば、筋膜が柔らかくなっていきます。触れていた場所のさわり心地が良くなり、弾力性が変わるのがわかります。

このときに、固くなった部位の全体をほぐすためには、少しずつ部位を変えてほぐしていく必要があります。

これは、筋膜は筋肉と違って体全体を覆っているからです。違うところを触ろうと早く動かしたり、圧迫させる表面積を広げたりすると、筋膜の一部分がねじれてしまいます。すると、筋膜が部分的に固くなってしまいます。すると、結果として筋膜全体が固くなってしまってしまいます。

筋膜の状態を整えることを、専門用語でロルフィングといいます。この世界では施術者に最大限体の力を抜いてもらうように促します。そして、施術のスピードはゆっくりで、体の一部分を施術するのに多くの時間をかけます。

筋肉に力が入ってしまうと、筋膜をほぐすことができません。そのため、自分でマッサージを行うときは、全身を脱力した姿勢をとって、なるべく筋肉に力をいれないようにします。

このように、ゆっくり長く、少しずつ押していくことで筋膜をほぐすことができます。「筋膜マッサージ」は時間がかかって効果が実感しにくいですが、取り入れると体全体の無駄な力みを和らげることができ、今より体の動きが良くなります。

具体的な筋膜マッサージを紹介

スポーツにおいて、怪我を予防するために、体の中をほぐすことは大切です。その中で、筋肉や関節に触れずに、体を動かしやすくする方法として「筋膜マッサージ」があります。

この方法を取り入れることで、ストレッチや準備体操だけでは防げない怪我を克服することができます。そのため、スポーツマッサージとは全く別の方法であるといえます。ここでは、「筋膜マッサージ」をするときのポイントと、自分でできる具体的なマッサージを紹介していきます。

筋膜マッサージをするときのポイント
筋膜マッサージをするときは、以下のことに注意して行いましょう。
 
 ・全身の無駄な力を抜き、マッサージ中はなるべく力まない
 ・痛い部分には指圧のように押すのではなく、適度な力で圧迫する
 ・90秒以上押し続ける
 ・押した場所が柔らかくなったら、少しずつ患部を移していく
 
以上の内容を守ることで、筋膜に直接触れることができ、しっかりとほぐすことができます。

 筋膜マッサージの具体例
多くの人が凝りやすく、効率的に全体の筋膜が整えられるマッサージの場所を紹介していきます。

ここで準備するものは「テニスボール」と「円筒状のもの」です。テニスボールに関しては野球のボールでも構いません。円筒状のものは、ポリウレタン製のポールや生地の固めのタオルを巻いたものでも問題ありません。

この二つと自分の手を使って、首から肩の患部をマッサージしましょう。

・首周りの筋膜
左腕を腰の後ろに回して、首の左側に伸びを感じるまで頭を右側に傾けます。指全体を使って、首の「つけ根」「肩」の順におさえます。

次に首を右ななめ上に前に倒して、アゴを肩に引き寄せるように首を回します。左耳の後ろ斜め下の部分を左手の指先で押します。左右を変え、これらの動作を同様に行います。

次に仰向けに寝て、円筒状のものを首のつけ根に乗せます。その状態で静止して、首を左右に振ります。気持ちよく感じられる部分を重点的に行います。

 
・鎖骨周りの筋膜
壁を横にして立ち、左腕を伸ばして手をつきます。腕の位置を変えずに上体を右にひねり、左腕のつけ根から胸までを伸ばします。左胸のあたりが伸びているのを感じたら、左鎖骨の下側のふちにボールを押し付けます。鎖骨にそって体の内側から外側、外側から内側へとゆっくりボールを押し転がしてほぐします。

・背中周りの筋膜
床に座って体の後ろに円筒状のものをおきます。お尻の割れ目のすぐ上に円筒が当たるようにしてあおむけになります。この状態でお尻を少し上げるようにして、下半身の重みを円筒に乗せるようにします。場所を変えるときは少しずつ接触場所を上にずらしていきます。腰が反りすぎる場合は円筒の直径を小さくします。

以上のマッサージにより、首から背中にある上半身の筋膜が整って怪我を防ぐことができます。

 
・お尻周りの筋膜
円筒物をお尻の左側に乗せて、後ろに手をつきます。脚のつけ根側面にある中殿筋(ちゅうでんきん)を伸ばすために左足を右ひざに乗せます。左のお尻へ体重がかかるように下半身を左に傾け、腰を少し前にスライドさせます。左右を変え、これを右側も同様に行います。

次に左のお尻の下(左のお尻の中心から太ももにかけて)に円筒をおき、仰向けになります。床をすべらすように左ひざを上げて、左手で左太ももを押さえます。円筒に体重を乗せて坐骨回りにある梨状筋(りじょうきん)をほぐします。

・脚周りの筋膜
次に左太ももの内側、左ひざのやや上辺りに円筒が当たるように脚を開いて座ります。肘で上体を支え、左脚に体重を乗せます。

左ひざを曲げ伸ばししたり、円筒をひざ寄りに少しずつずらしたりすることで、脚の内側にある内転筋(ないてんきん)と大腰筋(だいようきん)を伸ばします。左右を変えて同様に行います。

次に、円筒が右脚のつけ根の下に当たるように腰を下ろします。円筒が当たっている部分に体重をかけて脚のつけ根についている大腿筋膜腸筋(だいたいきんまくちょうきん)を伸ばします。

この状態から円筒を少しずつずらしながら少し下の筋膜を伸ばすようにします。ひざの外側まで押し伸ばすようにしましょう。左右を変えて同様に行います。

次に、左ひざのお皿周辺に円筒があたるようにうつ伏せになって、ひじで体を支えるようにします。右ひざを床にすべらせるように上げ、左太ももに体重が乗るように腕で上体をささえます。

円筒を上に動かすことで、広範囲の大腿四頭筋(だいたいしとうきん)を伸ばすことができます。脚を左右にゆっくり振ると効果はさらに上がります。左右を変えて同様に行います。

次に、左太ももつけ根に当たるように円筒を乗せて、右ひざを立てます。両手を体の横について、太もも裏側(ハムストリングス)に体重が乗るようにお尻を少し浮かせます。左脚のつま先を左右に振ると効果はさらに上がります。

円筒はひざの方へ少しずつずらしていきます。これを、左右を変えて同様に行います。

以上のマッサージにより、「お尻」「脚」にある下半身の筋膜が整って怪我を防ぐことができます。

筋膜マッサージのデメリット

スポーツで怪我の予防のために筋肉をほぐすことは大切です。その中でも、筋膜マッサージは筋肉を柔軟にする一つの方法であり、取り入れるとことで今より体を動かしやすくなります。

専門のマッサージ師に施術を受ければ、効果をさらに実感します。腰周りに負担を感じる人は、施術を受けると体が軽くなった感覚を得ることができ、今より腰回りを動かしやすくなるのがわかります。

しかし、今のスポーツ界では、筋膜マッサージはあまり普及していません。ここでは、その理由と筋膜マッサージの効果を得るために必要な別の方法を解説していきます。
 
 筋膜マッサージは難しい
筋膜マッサージが普及しない理由として「日常生活に応用しにくい」ということが挙げられます。

専門師に施術を受けると、今まで痛かった部分がなくなって高い治療効果を実感することはできます。しかし、受けた後の「体の感覚」は日が経つにつれて少しずつ薄れてきます。動かしやすかった体も少しずつ元に戻っていき、徐々に筋肉は硬くなっていきます。

筋膜マッサージの回数を増やせば、体が軽くなる感覚が記憶に残りやすいことは間違いありません。しかし、筋膜マッサージを何回も受けるのには、予約が取りにくく、施術費用もやや高めです。ほとんどが予約制であり、専門師の治療を受けるためには約1万円程度かかります。

一流選手が専属トレーナーを雇うのなら話は別です。しかし、普通の人がこのマッサージを受けるためには、時間やお金に制限があるため、多くても月に2回程度しか受けることはできないでしょう。月に2回程度であれば、そのときは効果を実感できますが、時間が立てばもとの体の状態に戻ってしまいます。

それを補うために、自分で筋膜をほぐす方法があります。しかし、セルルマッサージの欠点として「注意点が多く、ルールを守れなければ効果が半減してしまう」ことが挙げられます。

一人でマッサージするときは脱力状態を維持するのが難しいです。腕を動かしたり動作が速くなったりすると、筋肉が動いてしまい、筋膜が硬くなってしまいます。「全身を脱力した姿勢」を作らないと、筋膜をほぐすことができません。

そこで、誰かにマッサージをやってもらった方が脱力状態を作りやすいです。そのために施術を受ける価値があるのですが、生活やスポーツに応用するためにはセルフケアが必要になってきます。

しかし、私たちがスポーツをするとき、ほとんどの動作が筋膜を硬くしてしまうものばかりです。筋トレやストレッチは筋肉に着目したトレーニングです。これらの動きは筋膜にとって必ずしもよい影響を与えるとは限りません。

さらに、多くの人は「脱力した姿勢」を取るのが苦手です。どうしても、運動中に力をいれて体を動かしてしまいます。この「脱力状態」という意味を理解できていない人はせっかく専門師の施術を受けても、高い確率で元の体の状態に戻ってしまいます。


 
 筋膜マッサージがわからなければ「ヨガ」を取り入れる
このため、筋膜マッサージは効果が素晴らしくても、生活に活かすことが難しいです。ただ、筋膜を整えることによって得られる「体が軽くなる感覚」はスポーツの上達に役立つことは間違いありません。

そのため、筋膜マッサージ以外で「体が軽くなる感覚」を手に入れる必要があります。そこで、オススメするのが「ヨガ」です。

ヨガは深い呼吸で特定の筋肉を伸ばすポーズを一定時間とるストレッチです。女性がやるイメージがあるものの、ヨガスタジオに行けば男性の参加者もいます。さらにポーズの種類が豊富であるため、自分の競技で大切になる筋肉に合わせて選択することができます。

もちろん、ヨガをするためにはいくつか注意点があります。しかし、筋膜マッサージに比べれば、はるかに行いやすいです。「なるべく全身を脱力しないといけない」とか、「強すぎず弱すぎない程度で押さないといけない」など、難しい注意事項はありません。強いて挙げるなら、「同じ姿勢を取り続けること」と「呼吸は深く行うこと」の二つです。

私は大学時代、筋膜マッサージを受けて「この感覚は凄い!」と実感したものです。しかし、時間がたつと体の感覚は元の状態に戻ってしまいました。そのため、何か別の方法で自分でもできる方法がないか模索しました。

「初動負荷理論」や「ゆる体操」などいろんな本や情報を調べてみました。しかし、どれも難しくてお金がかかるため、日常生活にうまく活かせませんでした。

そこで、簡単にできるヨガをやったときに、このトレーニングの重要性に気づきました。ヨガを最初におこなったとき、「終わった後の感覚は筋膜マッサージを受けた後のようだ」と感じたものです。

ヨガと弓道は似たところがたくさんあります。「同じ姿勢を取る」「呼吸を使う」「中の筋肉が伸び続ける」といった要素は他のスポーツにはない特徴です。それから、布団に入る前に毎日ヨガを行って、全身が軽くなった感覚を作ってから寝るようにしています。

メジャーリーガーで数々の世界記録を打ち立てたイチロー選手は、日々の練習にヨガを取り入れています。格闘技界400戦無敗の男と言われたヒクソングレーシーもヨガの重要性を説いています。このように、スポーツ時に「脱力する」大切さを理解している一流選手は、ヨガの有効性に気づいています。

筋膜マッサージのような「体の感覚」を自分で作り上げるにはヨガがオススメです。やることがシンプルで効果も実感しやすいため、毎日取り入れることで怪我に強い体を身につけることができます。

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