スポーツ・武道で知られる2種類の姿勢のメリット、デメリット

正しい姿勢、フォームを身につけることは運動技術の向上につながります。姿勢を整えることで、運動中の体の負担を減らして、ケガの予防や動きの質を高めることができます。

スポーツ、武道の世界を見ると、姿勢の作り方には大きく分けて2種類あることがわかります。両者ともに、スポーツにおける運動に効果をもたらすことは間違いありません。

しかし、両方の悪い部分を理解し、自分の練習に活かしていく必要があります。

スポーツの世界での「腹圧をかける」姿勢

スポーツの世界で、姿勢作りは立位で行われ、その中でもよく使われるのが「腹圧をかける姿勢」です。

両肩の力を抜いて立ち、お尻をきゅっと締めるように腰を持ち上げます。すると、へその下に力が入り、やや前傾の状態になります。少しおなかをへこませるようにするとうまく行き、これが「腹圧をかける姿勢」です。これは、あらゆるスポーツの世界で多用される姿勢です。水泳でもランニングでもサッカーの走りでも用いられます。

腹圧をかけることで、腰からみぞおち部までの背骨がまっすぐに立つため、上体が安定します。この姿勢作りの長所は簡単にでき、すぐに効果がでることにあります。自分で腹圧をかけるために、意識もしやすいです。ランニングの世界では、あえて腹圧をかけるランニングベルトが発売されており、実際につけて走ると腰が安定していることを確認できます。

あるいは、人に押されてもぶれにくかったりして、見た目ですぐに効果を実感できます。そのため、ランニングの世界では最初におなかに手を当てて腹圧をかけさせて、誰かに押されてもぶれにくい体を体験させて、姿勢の大切さを説明したりします。しかし、この姿勢には短所があります。それは、動き続けると崩れやすいことです。実際に行ってみるとわかりますが、腹圧をかけた姿勢を維持するのは非常に困難です。

なぜなら自分でおなかをへこませようと意識すると、腹部の意識が行き過ぎてしまい、動作中におなかに力みが出てしまうからです。

自分で腹圧をかけようと意識しすぎてしまい、かえっておなかに力が入ってしまうのです。すると、脚を動かす際に、脚に無駄な力みが連動して発生してしまいます。武道の世界では、「良いフォームの要素を意識しすぎたあまりに、かえってほかの部位の筋肉を緊張させてしまう」ことを「言詮にとらわれる」思考といいます。

例えば、野球、サッカーのように瞬間的に力を入れるスポーツであれば、このように、良い姿勢のために体幹部の筋肉を力ませてもいいかもしれません。

しかし、フルマラソンのように長時間続くスポーツであれば、おなかの意識が運動中に邪魔になり、パフォーマンス低下をまねく可能性があります。

何も知らない初心者が一時的にスポーツのレベルを上げたいのであれば、意識的に姿勢作りを行うのは有効ですが、ある程度のレベルを持つ方であれば、別の方法で姿勢を作る方法があります。

武道の世界で知られる腹圧のかかる姿勢

そして、もう一つは武道の世界で知られる姿勢です。

全身の力を抜いて、まず首の後ろを伸ばします。頭の頂点を10センチ天井に向けてあげるように首を伸ばし、両肩を落とします。

そして、脚や腕に力を入れずに脱力します。すると、結果的におなか周りに体重が乗ります。意識が太もも周りに結集し、気持ちが落ち着きます。

武道の世界で丹田の整った姿勢ともいわれ、剣や杖、体を動かすときに重視されています。この姿勢の長所は全身の無駄な力みが抜けて、さまざまなスポーツで活かせることです。

今までと動きの体感や考え方が変わるため、上のレベルを目指したい人は常に意識したい姿勢といえます。私自身、この姿勢をとるようにしてから、あらゆるスポーツの運動技術が向上しました。

フルマラソンのタイムが伸び、トライアスロンのミドルも完走できています。

ただ、この姿勢の作り方にも欠点があります。それは、人によって感じ方に個人差があることです。

この原因は「首を伸ばす」という言葉がわかりにくいです。ほとんどの人が普段から首の関節を意識していないため、この関節が伸びることによる変化を確認することが困難です。スポーツの世界で首関節の重要性を説いた書籍や情報はほとんどないため、スポーツしている人でもこの感覚がわからない可能性があります。

そして、最初に効果が現れなければ、疑いの心が出てしまってやらなくなります。すると、「肩を動かさない」「首はまっすぐに」といった見た目の姿勢のキレイさを求めるようになり、思ったように動かせなくなります。そのため、最初は自分の思い込みでもいいので、毎日でも意識して取り組む必要があります。姿勢の作り方には2種類あります。初心者で、もしすぐに効果を実感したければ、自分でおなかや腰を動かして腹圧をかける姿勢をとるのをオススメします。

しかし、長い時間この姿勢を維持するのはとても困難であり、自分の動きにさらなる可能性を増やしたいのであれば、結果的に腹圧がかかる姿勢を身につけるのをオススメします。

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