スポーツで体の使い方を学ぶ際に注意すべきこと

スポーツの実力を向上させるには、運動技術や練習方法を学ぶ必要があります。ただし、こういった内容はすでに書籍や情報で公開されているため、実行したとしても他の人と差をつけられるか微妙なところです。

そこで、体の動きや動作の質を変えることが有効になります。そのために「体の使い方」を変えることが挙げられます。体の使い方を変えると、今までより動きが向上し、ケガの予防、練習量の向上といったことが期待されます。

このように、体の使い方にはメリットしかないように思えます。しかし、実際には、体の使い方を学ぶことにはいくつかデメリットがあります。そうした内容をしっかり理解し、自分のスポーツに取り入れないと、実力を下げる元となります。

ここでは、体の使い方や運動動作を学ぶ上でのデメリットについて解説していきます。

 体の使い方を学ぶと、新たな動きができなくなる
体の使い方はあらゆる動きがあります。当サイトの内容を見ればわかりますが、首から、足裏まであらゆる体の使い方を公開しています。こうして体の動かし方を変えることで、運動動作にプラスの影響を与えることは間違いないです。

ただ、ここで解釈を変える必要があります。体に対する意識を変える前と変えた後では、あなたが行う運動中の体の動きは変わっています。その結果、実力や結果が今より良くなることはありますが、それをもっと高いレベルに上げていくには、体の使い方を学んだ上でさらに練習し、動きの質を高める必要があります。

動きを高めると自分の動きの可能性をたくさん体感し、スポーツ動作にはたくさんの要素があることに気がつきます。例えば、腕を振るのでも、手先を意識するのか、肘を意識するのか、体を転がすように腕全体を動かすのかで腕の振りやすさや運動感覚が変わります。

しかし、体の使い方を学び、「このように動かすのがよい」と言われてしまうと、それしかやらなくなってしまう危険があります。それによって実力が下がる場合があります。

例えば、今まで一生懸命練習しても伸びなかった人が、動きの中にいろんな考えを取り入れた結果、体が動きやすくなり、怪我が少なくなったとします。すると、その人はその動きに価値やこだわりを見せて、スポーツに取り組もうとします。

すると、新たな動きに挑戦しようとしても前の動きが染みついてしまい、なかなかそこから脱却することができません。特に多いのが、体の動きにとらわれるばかりに「動きを遅くする」ことです。

ランニングや水泳の世界ではこういった話が多いです。例えば、「ただ走っただけではうまくなりません。肩甲骨を意識して腕を振り、腰から前に出るようにしましょう」といった内容です。

このこと自体は間違ってはいませんが、聞き手はこのように聞くと、その動きが正しいと思いこんでしまい、腕を振るときに肩甲骨を意識すること以外やらなくなってしまいます。走っている最中も、「自分が腕を振れているかどうか」ということばかり意識してしまうため、かえって動きを窮屈にしてしまいます。その結果、実力が伸びなくなります。

体の使い方を知識としてとらえたばかりに、それしかやらなくなってしまうのです。スポーツでは結果にとらわれるあまり、精神や体の動きを崩してしまうことはよくあります。しかし、運動中に体の動きにとらわれすぎると、かえってその人の持っている能力を閉ざしてしまう可能性があります。

本来、体の動きはひとつではありません。もっといえば「ひとつしかないと思ってはいけない」と話した方が適切かもしれません。スポーツだけでなく、武道や勉強も同様に、同じ動作や内容でもとらえ方や解釈がさまざまです。
 
体の使い方を学ぶことは、無数にある体の動かし方に対するひとつのアプローチであると認識する必要があります。

しかし、それを「こういうもんだ」「こうなるものだ」と決めつけてしまうと、ひとつの枠組みにこだわってしまいます。一流選手のバッティングフォームやプレースタイルを年ごとに変えているのと同じように、運動感覚やとらえ方を変えていく必要があります。

特に最近のスポーツの本や書籍は「今まではこういった動きが常識とされていた。ただ、それは科学的に効率が悪いから、本当はこちらの動きの方が良い」といった「否定本」が増えてきました。すると、ますます読み手はひとつの動きに対するこだわりから抜けなくなってしまいます。

こういった内容をひとつのアプローチとしてとらえて、それ以外の動きを模索し、施行する必要があります。

私自身、フルマラソン、弓道を十年以上続けてきましたが、常に同じようなアプローチで運動してきたときはありません。走るとき、弓を引くときの意識は刻々と変わっています。

それは練習を行っていくにつれて自分の体の動きや使い方が変わってきたため、前の動きを捨てていくイメージに近いです。そうして、あらゆる運動における意識の持ち方を経験することでさらにひとつの動きが洗練していきます。

体の使い方を学ぶことで、運動動作に良い影響を与えることができます。しかし、それが正しいと思い込み、その動作しかやらなくなると、かえって実力を下げてしまう可能性があります。

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