スポーツにおいて体の使い方を学ばなければいけない理由

スポーツの世界で、頂点を目指すには練習や理論の勉強といった必要な要素があります。その中に「体の使い方」が含まれます。

体の使い方とは、今より楽に効率よく動作を行う方法です。姿勢を良くしたり今まで意識していなかった筋肉を活用したりして動作の質を向上させます。

ただ、こうした内容は個人差があり、効果を実感しにくいときがあります。しかし、体の使い方を学び、実践することは、のちに一流レベルに飛躍させるために重要な意味を持っています。

ここでは、スポーツにおいて体の使い方を学ばなければいけない理由について詳しく解説していきます。
 
 体の使い方を変えて素直な動きを育む
体の使い方を変える目的は「今より楽に速く動くため」とよく言われます。しかし、それ以上に体の使い方を持つ重要な意味は「とらえ方を変える」ことにあります。今までの動きと別の動きをすることで、新たな発見や気づきを手に入れることができます。

それによって、謙虚な気持ちを持つようになります。自分にとってわからなかった動きや物理現象が存在するのだと体で体感すると、まだまだ知らないことがたくさん存在することを実感します。

すると、運動しながら「素直さ」が育まれていきます。素直な気持ちは知識や動きに対する大きな吸収力になります。そして、自分にとって本当に必要なものを取捨選択し、運動技術を向上させる糧にします。そうして、難しい動作や誰にも真似できないプレイを実現させることができます。

そのため、一流選手は自分なりに行ってきたやり方で成績や実力が向上しても、その型やフォームは少しずつ替えたり変更します。その理由はあらゆる動きを試すことで、新たな発見が生まれるからです。同じ型で動作を続けると感触や体感は単調になり、そこに深みがなくなります。自分に対して内なる自信が出なくなってしまいます。

武道の世界では、こうして体の動きのとらえ方を変えることで飛躍的に実力が向上します。逆に、一つの運動を同じとらえ方で考えていては、同じ動きしかできないために、成長は頭打ちになってしまいます。

例えば、弓道の世界では、弓を引くという動作の中にもあらゆる解釈があります。多くの人は弓を「引く」ものと考えます。右手で弦を引っ張り、左手で狙いをつけて矢を放つものと考えるのは自然なことです。

しかし、長く弓を引いてきた人たちはその解釈を転換し、弓は「押す」ものと考えます。左手で弓を押し、右手で弦を押すことで、左右とも同じ運動になり、姿勢の崩れやねらいのブレがさらになくなります。

しかし、このような思考で弓を射こなすのは至難の業です。なぜなら、弓は引いた方が楽に体に寄せてこれるからです。しかし、引き寄せる引き方で稽古を続けていくと、腕力に頼った引き方が身についてしまいます。やがて弓の力に耐えられなくなり、的にあたらなくなってしまいます。
 
 素直な気持ちがなくなれば、実力を落とす
一般人からしてみれば、弓を「引く」引き方になってしまったら、「押す」引き方に変えればいいのではと思うでしょう。内容だけ聞くと、押す引き方の方が姿勢は崩れにくく、学びがいがあるように映ります。

ただ、実際にはこうは行きません。なぜなら、引く引き方で的にあたり、ある程度の実力を出してしまったら、押す引き方に疑いの心を持つようになるからです。自我意識を持った状態で押す引き分けを行うと、少し当たらなると「押すように引くといっても、あまり実力は上がらないのでは」と自分で考えるようになるからです。

結局、楽な引き方で的に当てようと考えてしまい、どんどん弓を押し開けなくなります。最終的には、軽い弓で当てようと努力をします。すると、先達者や歴史上の話している弓の引き方を「今と昔は違う」と解釈するようになります。

このように、武道の世界では素直さが欠けてしまったら、いくら他のアプローチがあったとしても、正しい行為を率直に受け入れられなくなってしまいます。その結果、実力を落として的に当たらなくなります。

これはあらゆるスポーツに関しても同様です。何も考えずにスポーツをしてきた人はコーチや監督に悪い部分をいわれても、それを素直に受け入れることができません。すると、悪い部分がいつまでも残り、それを直すことができなくなってしまいます。

この状態で体の使い方や運動理論を教わっても、結局自分の固定観念から脱却できなくなります。いくらコーチや指導者がいいアドバイスを投げかけてもそれにうまく反応するアンテナがなくなってしまい、実力が下がってしまいます。

体の使い方を学ぶことは自分の動きの可能性を広げる最大の道具になります。今まで自分の体感したことのない動きを学ぶことで、行っているスポーツの応用例が広がります。すると、練習量やモチベーションの向上につながります。

スポーツにおいて体の使い方は運動の奥深さを与えて、「素直さ」を育むことができます。積極的に体の使い方を学ばなければ、自分の動きに反応や刺激がなくなり、成長のキッカケを逃す可能性があります。

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