「踵」を使えば、速く走っても脚と太ももの痛みが消えていく

次に、楽に早く走るための「膝関節」の使いかたについて解説します。膝関節は「柔らかく使う」ことを意識しましょう。

「膝関節を柔らかくとはどういうこと?」と思われるかもしれません。しかし、走る際に最も負担がかかる脚に注目しなければいけません。その中で、「膝」に注目することは非常に大切です。

本記事では、「膝を柔らかく使うとは、どういうことか」「膝を柔らかく使うには具体的に何をすべきか」について解説していきます。この内容がわかると、走っている最中に

・脚の各部(膝、太もも裏、腹部)の痛みが消える
・疲労度が軽減される

といったランニング初心者に起こる「怪我」を回避できます。

 

人は何もしなくても、骨盤が前に傾くようにできている

「膝を柔らかく使う」方法を解説する前に、「人は無意識に脚と背中の筋肉を使っている」ことを立ち姿勢にて解説します。

人は何もしなくても「ふくらはぎ」と「太ももの付け根(腸腰筋:ちょうようきん)」の筋肉を使います。これを別名「抗重力筋(こうじゅうりょくきん)」とも言います。抗重力筋の関係がよく分かれば、「最も膝に負担のかからない姿勢」についてよくわかります。

まず、「ふくらはぎになぜ力が入ってしまうか」について、人の関節の構造を考えていきます。すると、「足首とすねの骨だけを見ると、人は前に倒れやすい」ことがわかります。

例えば、足関節だけに注目してみます。もしも、足関節を中心と考えて、足首とすねの骨(下腿(かたい)ともいう)を見ると、すねの骨は前に傾いています。このように、関節の中心と二つの骨の位置関係から、どのように関節が動くのかを物理的に考えることを「関節モーメント」といいます。

関節モーメントといわれると少し難しいかもしれません。しかし、ここでは「重力によって、どの関節がどのように動くのか?」と考えればよいです。したがって、重力を考えると、下腿は前に倒れてしまいます。

これを防ぐために、後ろ側についているふくらはぎの筋肉を使います。そのため、ふくらはぎの筋肉は何もしなくても収縮し、力が入ります。

次に、太もも骨と骨盤から考えてみます。これも結論から言うと、「太ももと骨盤の二ヶ所だけみると、人は後ろに倒れやすい」ことがわかります。横からみると股関節の位置が太ももの骨より後ろにあります。従って、体が後ろに倒れるのを防ぐために、下腹の筋肉が張ります。

最後に股関節と背中の二つの部位に注目します。「股関節と背中を見ると、人は前に倒れやすい」ことがわかります。横から見て、背骨が股関節の位置より前にあるからです。体が前に倒れるのを防ぐために、背中の筋肉が張ります。

以上の内容をまとめると、

・人は何もしなくてもふくらはぎ・下腹・背中の筋肉が張りやすい

・前傾姿勢になりやすい

ことがわかります。加えて、ランニングにおいては上体を前に倒し続けるため、より骨盤が前傾します。すると、着地はつま先につきやすくなり、この影響でさらにふくらはぎに負担がかかります。

つまり、たいていの人は走っているときに自分が意識している以上に骨盤が前に傾いていると考えられます。

踵を踏めば、ふくらはぎの負担が減って走りやすくなる

ただ、この問題は「踵を踏む」ことを意識すれば解決されます。

走る際、脚を踏み込むときに、踵を踏むようにしてください。実際に行えばわかりますが、踵を踏むようにすると、何も力を入れなくても、楽に上体を前に送れます。前進運動が行いやすくなる理由を先ほどの関節モーメントの観点から解説します。

まず、立っているときにふくらはぎの筋肉は張りやすく、走っている最中も負担かかります。ここで、踵を踏むように歩くとふくらはぎの筋肉が伸びます。アキレス腱伸ばしをするとわかるように、人の体は「踵を踏むと、ふくらはぎの筋肉が伸びる」ようにできています。この原理を用いることで、ふくらはぎの筋肉が伸びながら、上体を前に送ることができます。

例えば、踵を踏んで歩いてみてください。そのあとに、前屈運動を行ってください。おそらく、踵を踏みながら走るとふくらはぎの柔軟性が向上しているはずです。一方、つま先着地で歩いてみてください。後に前屈運動すると、ふくらはぎの筋肉が硬くなっているはずです。うまく踵を使うと、常に緊張しやすい「ふくらはぎ」の筋肉の負担を減らして走れます。

斜め上方に首の後ろを伸ばせば、背中が楽になる

ただ、説明したように「踵を踏む」ように意識しても、あとになって「つま先過重」になってしまう可能性があります。なぜなら、ふくらはぎの緊張が取れたとしても、背中や太ももの付け根の筋肉が緊張してしまう可能性があるからです。二つの筋肉が張ってしまうと、胸が前方に突出した姿勢になりやすいです。

このように、胸が前方に突出すると、最初踵に体重を乗せてはしれたとしても、後でどんどんつま先で着地しやすくなり、どんどんブレーキがかかります。常に、踵で踏み込んで楽に走り続けるためには、胸の前方突出を押さえないといけませn

そこで、「首を伸ばすと楽に速く走れる」ことを解説した記事を参考にします。踵を踏んで走るようにし、少し顎を引いて斜め上方に伸ばすように首の後ろを伸ばしてください。

これによって、胸の前方突出が抑えられます。それだけでなく、踵を踏んで走り続けることができ、何もしなくてもどんどんペースが上がってくるのが体感できるでしょう。

このように、自分で意識しなくても「踵を踏み続けてどんどんペースが上がっていく」感覚が手に入ると、楽に速く走ることができます。自転車のペダルを一回速く回すと後は楽に加速していくように、走るときも、力を抜きながら、どんどんペースアップするのが体感できれば合格です。

つまり、まとめると。

・踵に体重を乗せると、ふくらはぎの張りが消えて走り続けられる

・顎を引いて、首の後ろを伸ばすようにすると、背中と下腹の筋肉の張りが消える

以上の二つを実践すると、楽にスピードが出て怪我しにくく走ることができます。では、次にこの走り方によって、ふくらはぎ、太ももの痛み、疲労感が軽減される理由について解説していきます。

踵と首の後ろを使うと、脚の痛みと疲労感が軽減される

上記した内容がわかると、膝に大きく負担がかかるのがわかります。なぜなら、三つの筋肉が硬くなると、走っている最中に膝が曲がり、腰の位置が下がるからです。三つの筋肉を張った「前傾姿勢」をとります。すると、着地したときに膝がバネとなってジャンプするように下半身が動き、腰が上方に動きます。

このように、膝を「曲げる」→「伸ばす」の運動量が多く積み重なるため、続けていくと膝の怪我を起こす可能性があります。

なお、ランニング中にハムストリング(太もも裏側)が痛む人もいます。しかし、これも前傾姿勢が原因です。

膝が曲がり、骨盤が前傾すると、ふくらはぎの筋肉が張ります。太ももの筋肉はふくらはぎの筋肉と連動して働くため、ふくらはぎが張ると、ハムストリングも緊張します。この姿勢で走り続けると、太もも裏側がつります。

よく、長い距離を走ると太もも裏側がつってしまう人は、ふくらはぎに負担がかかりすぎていないか確認してください。私も、マラソン始めた当初は15km付近でいつも太もも裏側がつって走れなくなっていました。そこで、膝の上下動の動きをなくしたことで、今は脚がつらなくなりました。自分の走り方が前傾姿勢になりすぎていないか確認してみましょう。

さらにこの走り方は、腰の上下動が大きくなります。そのため、腹部の内臓筋が上下に大きく揺れて、内蔵器官に負担がかかります。このため、「腹が痛くなる」といった症状にも悩まされます。

それに加え、膝の上下動作が多くなると「頭部も上下に動きやすく」なるのがわかります。これを防ぐために、頭部の後ろの後頭下筋が張り、頭部が動きすぎないようにします。

首の後ろの筋肉が張ると、ランニング中に頭部に流れる血液量や酸素量が低下します。したがって、疲労感が増大し、ランニングペースが落ちます。

大阪大学の脳科学者の梶本修美氏は、「脳が疲れると身体全体が疲れる」と解説もしています(「すべての疲労は脳が原因 集英社」より)。脳の中に疲労物質(ファティーグファクター)が蓄積されると、身体全体を動かす仕事量や能率が低下すると説明されます。脳内に疲労物質がたまる理由は、仕事やスポーツで後頭部付近にある交感神経(緊張状態の際に働く神経)が活性化され、エネルギーを消費するからです。

楽に早く走るためには膝関節をうまく活用する必要があります。膝の曲げ伸ばしの運動量が軽減されると、重心移動が楽に行われ、脚に力を入れずとも早く走ることがことができます。

こうした脚の痛みと疲労感は踵と首の後ろを使うことで、解消されます。踵で踏んで首の後ろを伸ばして上体を前に送っていってください。楽に速く走れるのが体感できます。

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