なぜ、速球派投手はリリースの仕方は「指先で切る」と話すのか

ダルビッシュ投手や田中正将投手など、速球派で知られるピッチャーの投げ方には共通点があります。それは、リリースの仕方を「指先で切る」と話していることです。

 

なぜ、速い球を投げる人は「指先で切る」という言葉を使うのでしょう。この言葉には、球速を格段に上げるための重要な要素が隠されています。

 

ここでは、一流投手の話す「指先で切る」の意味と、指先で切る感覚を養う練習方法について解説していきます。

 

 速い球を投げる人は指先を弾かれるように働かせる
140km以上の球を投げる人は、遅い人と違った共通点を持っていることがわかります。それは、リリース時の指先の使い方です。

 

野球で投げる動作で土台となるのは下半身の働きです。しかし、どんなに下半身の使い方が良くても、最終的にボールに力を伝えるのは指先です。この指先の使い方で5〜10kmも球速が変わります。

 

速い球を投げる人はボールを投げる方向以上に下へ向かって力がかかっています。一方、遅い球を投げる人は、常にボールが前に押し出すようにして投げています。

 

具体的に説明すると、はじめは人差し指、中指、親指の3本指でボールを握り、そこから腕に力を入れず、振り始めていきます。

 

すると、腕がしなるように前方に出ていきます。そのしなりを使って投げると、最初に親指がボールから離れます。そして、人差し指と中指の2本がしなりながらボールに触れている状態になります。

 

最後の2本を指のしなりの反動を使って、ボールを弾くように離します。すると、しっかりとボールに力を伝えられて、素直な回転がかかります。このときに、腕に力が入っていると、ボールを弾くような動きが出ません。

 

 

 

感覚やイメージは個人差がありますが、球速と指先の使い方は密接に関係しています。
 
 「指先で切る」ために「グーで握って離す」
そのため、指先を切る感覚を少しでも身につければ、球速を上げることができます。野球の世界ではあおむけに寝た状態で天井に向かって、ボールを投げるやり方が有名です。

 

しかし、実際に投げるときにその弾き方を実現させるのは至難の業でしょう。ここでは、投げる動作の中で、弾く感覚を身に着ける方法を教えます。

 

それは、ボールを「グー」で握って離すということです。

 

多くの人は「指先で切る」と言われると指に力を込めようとして投げてしまいます。それでは、リリース時に変に力が入ってしまうだけ、ボールに力を伝えることはできません。そうではなく、最後のリリースで「グー」の拳のように握って離しましょう。すると、指先に下向きの力がかかりやすくなります。
 

 

 

グーで握って離すという練習方法は、弓道の世界で弓を離す稽古方法から来ています。弓を引いて右手を離したとき、拳の形がパーになると、矢を飛ばすの勢いがなくなります。そこで、離した後の「小指」「薬指」「中指」の三指は握るようにして離します。

 

原理的に中指、人差し指が下向きの力ではじかれるのであれば、離れた後の二つの指はてのひらの中に収まるようになります。この収まる動きを意識的に行うことで、指先の働きが変わります。

 

ここで、「中指、人差し指では弾く」という言葉に囚われて、「中指」「人差し指」だけ動かす腕の使い方をしてはいけません。余計な力みとなって、コントロールが定まらなくなります。そこで指ではなく拳全体を使うように心がけます。

 

すると、今までよりリリースの時の指のかかりだけでなく、振り下ろしたときの腕の収まりも変わります。自然と、腕が力まずに投げ終わった後の、腕の加速や勢いが変わることを感じることでしょう。

 

野球の世界では指先を切る使い方は子供のころにしか身につかず、大人になってからはあまり身につかないと言われてきました。それは、指先で切ると腕にどのくらい勢いがつくのかといった、その他の体の影響を体感しにくいからです。

 

そこで、拳を使います。離すときに指先を意識するのではなく、「グーで握って離す」と意識してリリースします。すると、離した後の指先だけではなく、腕の振りも変わります。その結果、一流投手の話している言葉の捉え方が変わります。

 

リリース時の指先に囚われるのではなく、グーで握って離しましょう。すると、指先の働きが変わり、球速を格段に上げることができます。

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