天才バッター「前田智則」選手から良い姿勢を形式的に学ぶ

数々の一流バッターが口をそろえて「天才」と称する打者がいました。2013年に引退した元広島東洋カープの前田智則選手です。

 

現役時代に三冠王を3回獲得した落合博光選手はあらゆるバッターのフォームを見て、真似していいのは前田選手だけと話していました。日米通算400本安打を達成したイチロー選手は、「天才? それは前田さんのこと」と答えていました

 

前田選手のバッティングフォームは、小中高あらゆる年代の人が参考にできるフォームです。

 

野球の世界では年代よって、フォームを参考にできないことが良くあります。例えば、通算本塁打数世界記録保持者の王選手は、一本足打法という足を大きく上げるフォームです。この打法は足腰が未発達な小中学生には参考にできません。

 

そういう意味では、あらゆる年代の人が参考にできる前田のバッティングフォームは、野球界でも稀有な存在といえます。

 

ここでは、前田選手のバッティングフォームから合理的で理に適った姿勢とその作り方について解説していきます。

 

 合理的な姿勢である「三重十文字」のバッティグフォーム
前田選手のバッティングフォームを見ると、ポイントが二つあります。一つ目は「両足」「両腰」「両肩」の線が正面から見てほぼ平行、かつ背骨と垂直になっていることです。二つ目は体をほんの少し伏せ気味にしていることです。これにより、上半身の体重が下半身にしっかり乗ります。

 

 

 

弓道の世界では、この姿勢を「三重十文字」と呼びます。三重とは「両足」「両腰」「両肩」のことです。弓を引くとき、この三か所が背骨と十文字に交わるようにします。

 

三重十文字の利点は、止まった姿勢から瞬時に足を上げたりバットを引いたりできるという点です。

 

多くの人はバットをひきつけるときに肩を動かします。そして、タメを作るときに脚や腰を力ませます。しかし、そうした体の一部分だけを動かすことは、バットを振る上で本質となる「上体の軸」を崩すことになります。

 

能の世界では、「静中動」という言葉があります。良い姿勢を保つと、止まった姿勢でも体の中の動作の意識は続いています。そのため、停止した姿勢から、すぐに体の向きを変えたり腕を動かしたりすることができます。

 

多くの野球理論書には、股関節や肩甲骨の動かし方が書かれています。しかし、そうした関節の話は、便宜上バッティング動作の説明に役立つから使われているのです。一流選手たちが、本当に股関節に気持ちを込めてバッティングを行っているかはわかりません。

 

こうした、マニアックな言葉に囚われてバッティング動作を行うと、あらゆる動きがぎくしゃくします。木を見て森を見ないような不安定な運動になってしまいます。

 

前田選手のバッティングを見ると、肩甲骨や股関節だけを動かすしぐさはどこにもありません。動作が連続してフォロースルーに入っていきます。このようなどこにも不自然のないフォームは、あらゆる年代の人が参考にするべきものです。

 

 三重十文字の整え方と呼吸
ここでは、三重十文字の姿勢の整え方を解説していきます。最初に両肩の線をそろえるために、アゴを少し引いて首を上方に伸ばしましょう。

 

次に、両肩を楽にするように耳元から垂直に落とすようにします。こうすることで、両肩、両腰にねじれがなくなり、背骨と平行になります。

 

次に、足裏を確認します。首を伸ばして肩を落とし続け、ほんの少し上体を前傾させましょう。すると、土踏まずよりやや前方に、体重が乗ります。これにより、左右の足に均等に体重が乗ります。こうして、両足も片寄りなく、平行になります。三重十文字の姿勢を取ると、前や後ろから押されても上体が動揺することがありません。

 

そして、バッティング動作に移るときは、呼吸を意識します。三重十文字の姿勢が出来ていると、息を吐く量が自然と多くなります。

 

いつもよりゆっくり動作を行い、息を吸いながらバットをひきつけましょう。そして、前足を踏みこんで腰を回転させたときに短く「フッ」と吐きながらバットを振りましょう。

 

呼吸をすることで、脚や腕などの部分ではなく、おなかや背中といった体の中心部を意識して動作を行うことができます。

 

前田選手は「ゆっくり」とタイミングを取るとき、取ります。そして、バットのスイングは「遅いくらい」の感覚で振ると話していました。これは、本当に遅く振っているわけではなく、両腕の力みを取っていることがわかります。

 

この感覚に、誰でも簡単に近づける方法が「呼吸を意識的に使う」ことです。呼吸を取り入れることで、腕や脚といった末端部を意識することが難しくなります。その結果、前田選手のような、上体を崩さず流れる動作に近づけることができます。

 

首をのばして肩を落とすことで、三重十文字の姿勢を身につけましょう。そして、打つ動作に呼吸を取り入れてみましょう。すると、上体が崩れず、自然な動作を行うことができます。

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