丹田(下っ腹)を意識して走るとあらゆる体の力みにつながる

ランニングの姿勢を整える方法で「丹田(たんでん)」を使うことがあります。丹田は武道でよく使われる言葉です。

 

詳しく話すと難しいので簡単に説明すると、丹田とは「下っ腹」を指します。実際にそういう器官があるわけではなく、漠然と下っ腹まわりの空間をさします。長年ランニングをしている人は「お腹に力を入れて、丹田に意識を置く」と説明します。

 

ランニングをしていて、疲れてくると、胸周りが緊張し、てが力みます。すると、走っているときの自分の意識は胸や、肩など体の上部に行きます。そうすると、上体がグラグラしてしまい、姿勢の崩れに繋がります。そのため、意識をなるべく下半身周りにおくために、下っ腹に力を入れて、丹田を意識するようにするのです。

 

下っ腹を意識すれば、気分や力みが上ずる気持ちを和らげることはできるかもしれません。しかし、丹田という言葉に刺激されて、むやみにどこかに力を入れたり、圧迫させたりするとかえって走りの姿勢を崩すことになりかねません。

 

ここでは、下っ腹を意識することで起こる障害と正しい丹田の意識の仕方を解説していきます。

 

 丹田とは、下っ腹に力を入れることではなく、上半身の力みを取ること
「丹田意識して」や「下っ腹に力を入れて」と説明されると、本当に意識を丹田に向ける人がほとんどです。下っ腹の筋肉に力を入れたり、腰を動かしたりして、下っ腹周りの筋肉を動かそうとします。しかし、これは丹田を使っているわけではありません。単純におなかに力が入っているだけです。

 

下っ腹だけを意識すると、腹だけでなく脚も緊張し、あらゆる部分の筋肉が硬くなってしまいます。すると、上半身だけでなくいろいろ部分が緊張します。

 

弓道の世界でも同様に、「丹田意識して」とやたら下っ腹に力を入れることを勧める人がいます。ひどい場合は棒や拳で弾いている最中に下っ腹をつついて、意識を促すように指導することもあります。

 

こうした意識をすると、姿勢が崩れてしまいます。首の筋肉が硬くなったり、足に体重がしっかりのらず、かかとやつま先が浮いてしまったりします。少しでも後ろから押されると上半身がぐらつく姿勢になります。

 

つまり、下っ腹に力を入れた姿勢は堅く、強そうに見えるものの、外から力が加わったときはすぐに崩れてしまう姿勢になってしまいます。その結果、ランニングにおいて走る姿勢の崩れやスピード低下につながります。

 

武道の世界では、こういった誤った丹田の意識の仕方をして、そけい部ヘルニアを患った話もあります。下っ腹を固くしたりしてしまうことは、動作するときにそれくらい悪影響を及ぼすものと考えた方がよいでしょう。

 

 正しい丹田の意識の仕方
ここでは、丹田を意識するときの正しい説明をしていきます。

 

丹田を意識することは、「自分で下っ腹を固くする」のではありません。「他の部位を働かしたとき、自然と下っ腹周りに体重が乗るもの」と考えてください。初めての人は下っ腹に力を入れたり、腰に変な意識をおいたりすることをやめてください。

 

 

 

その代わり、行うべきことは上半身の無駄な力みを取ることです。上半身の無駄な力みのとり方は「首を伸ばすこと」と「両肩を落とす」ことです。

 

少し顎を引くようにして、首の後ろを伸ばし、両肩を落とすようにしてください。そして、下半身や胸周りをも含め、他の部位まで力ませないようにしてください。

 

そうすると、上半身の体重が自然と腰回りに乗ります。これが、正しい丹田の意識の置き方です。自分で意識して固くするのではなく、結果的に丹田が固くなるように他の部位を動かすのです。

 

このときの上半身のリラックスした状態を覚えて、歩いたり、走ったりしてみましょう。そうすれば、丹田を意識した正しい走り方の完成です。

 

走っているうちこのリラックスした状態がなくなってきたら、姿勢が崩れているサインです。そのときはもう一回首を伸ばし、肩を落とし、上半身の無駄な力みを取りましょう。そうすると上半身の体重が正しく乗り、下っ腹周りに自然と意識が行くようになります。

 

お腹を意識するのをやめて、むしろリラックスするようにしましょう。下っ腹に力を入れてしまうと、またお腹が硬くなり、それに伴って脚や首などあらゆる筋肉の力みに繋がってしまいます。

 

丹田という言葉にとらわれて、余計な力を入れるのをやめ、上半身の無駄な力みをとって走りましょう。そうすれば、自然と下っ腹まわりが働き、脚や背中の筋肉を自然に働かせることができます。

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