あらゆる動作を「腰」で行うことで、スポーツ技術が高まる

スポーツの動作を詳しく研究することで、身体に負担なく動作を行うことができます。そして、全ての運動動作に共通していえることは「適した姿勢を整えて、動作を行う」ことです。

 

野球にしてもサッカーにしても、動く前に自分の姿勢を確かめなければいけません。上半身の姿勢が整っていないでバットを振ると、股関節や肩回りに負担がかかりすぎてしまい、怪我をしてしまう可能性があります。また、サッカーであれば、無理な動作によって脚に負担をかけてしまいます。

 

こうした事態を防ぐためにも、適切な姿勢で動作を行う必要があります。そこで、武道の世界では「腰」の使い方を変えることで、運動技術を高められることがわかっています。腰に注目することで、スポーツで行われている動作が楽に行えます。さらに、日常生活であれば、腰や肩に負担のかけない姿勢を維持しやすくなり、不調が改善されます。

 

今回は、運動に適した動作を身に着ける「腰」の使い方について解説していきます。
 

全ての動作の基幹となる「腰」

ランニングであれば脚を前後に振られ、体幹部が反ったり屈んだりする運動が行われます。バスケットボールであれば、腕を前や横に動かす運動が行われます。このように、スポーツによって特有の運動がありますが、共通して言えることとして、「動作の基幹が腰から行われること」が挙げられます。

 

例えば、フルマラソンの世界で黒人ランナーは走るときに、膝だけが動いて脚が前に出ません。腰と膝と足首が同時に動き、胴体部の筋肉が活用されます。

 

さらに、野球の世界では、高い打率を残す選手は腕だけでバットを振りません。足首、膝、腰が瞬間的に同時に動き、腰がひねられる運動が起こります。それに追従して腕が前方に振られ、バットを振る動作が完了します。

 

上記した、「黒人のランナーのように腰を動かす」「野球選手のようにバットを振る」ためのコツとして、動くときに腰を起点に動かすようにします。

 

例えば、脚を動かすときは、膝下の筋肉の力を抜き、太ももの付け根から腹部から上半身を動かします。すると、「腰」が起点に体が前に動きます。腕を動かすときも太ももを動かし、腰をひねる運動によって腕を動かすようにします。これによって、あらゆるスポーツ動作を無駄な力みなく、力強く動作が行えます。

 

腰を起点に動作すると、スポーツ技術が向上する理由

この理由として、腰を起点に動かそうとすることで、単位時間当たりに働く筋肉の量が増えるからです。

 

人の体を胴体を断面にして切断すると、腹部と背部では筋肉の割合が異なります。具体的には、背部の筋肉のほうが腹部の筋肉より大きいことがわかっています。胴体の断面図を見ると、背部についた筋肉には、「脊柱起立筋肉」「多裂筋」「腰方形筋」「広背筋」などがあります。これらの筋肉を集めると、腹部の筋肉より、厚みが出ています。

 

腹部も背部の筋肉も両方とも背骨につかさどる神経から通る命令で動きます。このように、背中の筋肉の使い方は後の学習や意識の仕方で変えることが可能です。多くのスポーツ選手は、練習量の増加によって、身体の使い方で背部の筋肉を意識しだすようになり、結果として背中の筋肉が発達していきます。

 

すると、同じ運動であっても、働く筋肉の量、筋力、関節の安定性が向上し、結果として運動技術が向上します。

 

先ほどお話した、黒人ランナーの大きな特徴として、一般人に比べて「腸腰筋が太い」ことが挙げられます。ゴルフ、野球の世界で、スイングスピードが速い選手の特徴として「脊柱起立筋が太い」ことがわかっています。つまり、パフォーマンス向上には、背中の筋肉が太いことが特徴として挙げられます。

 

ただ、これは筋トレを行うことで「太くする」のではありません。大切なのは、動作中に背中の筋肉を多く活用することです。そのための一つの意識として「腰を起点に動作を行う」ことが挙げられます。

 

武道の動きには、背中の筋肉を使う意識が必須である

武道の世界でも同様にも、腰の筋肉の使い方を詳しく説明します。

 

弓道の世界では、「歩く、座る、立つ、弓を引く」といった動作の基本的な考え方として「全ての動作を腰を起点に動かす」という考え方があります。上記に述べた動作を無駄なく行うためには、なるべく姿勢を崩さないようにしなければいけません。そのために、「腰」の動かし方を意識することが重要となります。

 

さらに、剣術の世界では、剣を振ることより正しく立つことを優先します。動くときは腰を立てて腰から動くようにします。腰が反ったり屈んだりした姿勢で剣を振ると、上半身の姿勢がさらに歪んでしまいます。そのため、斜め、前方、上段といったあらゆる方向から斬りつける動作ができなくなってしまいます。

 

禅の世界では、呼吸動作を行う際に、腹式呼吸ではなく背中の筋肉を意識して呼吸する教えがあります。これを禅呼吸とも表現することがあります。行えばわかりますが、背中の筋肉を意識して呼吸した方が多くの呼吸を吸うことができます。なぜなら、呼吸動作も体内の筋肉の活動量に関わるからです。

 

実際に、私はあらゆる動作を武道的に考えます。つまり、あらゆるスポーツ動作を、腕や肩ではなく、背中や脇下といった「背部の筋肉」を活用できるように指導していきます。たとえば、マラソンランナーであれば、股関節の筋肉ではなく、背中の筋肉がよく伸びる姿勢を伝え、走らせるようにします。

 

野球であれば、背中を最大限に伸ばした姿勢を先に伝え、腰の筋肉を活用できるように指導します。すると、高い確率で行っているスポーツを楽に行えるようになります。

 

つまり、運動技術を高めるためには、「背中の筋肉」をいかに使えるかにかかっています。これをうまく伝えることが、運動指導には大きくかかわると考えています。

 

「動作を腰を起点に行う」具体的手法

では、武道の体使いである「動作を腰を起点に行う」ためには、どのようにすれば良いでしょうか?以下のような簡単な工夫によって、行うことができます。

 

まずは、簡単な動作でも腰から動くことで、自分の力の伝わり方が変わることを体感してください。
 
 横から人に押してもらったとき
例えば、「別の人に横から肩押してもらったとき」を想定します。あなたは誰かに肩を押されたら、姿勢を崩さずに力を受け止めることができるでしょうか。

 

通常、横から人に押されてしまうと、その押される力に対抗しようとすると「肩」が力みます。すると、上半身の上部がねじれてしまい、姿勢の崩れが生じてしまいます。肩を押されたた押された方向に姿勢が崩れながら動いてしまうでしょう。

 

このように、肩を押されたときに肩で対抗しようとすると、腰部が対して動かず、動きずらいことも実感できるでしょう。

 

武道の場合、こうした無駄な動きを排除します。そこで、肩で押されたときの体の意識の仕方を解説します。肩で押されたときは、押されている部分は何も意識しないようにします。

 

それよりも、肩を押されたら「肩」ではなく「腰」で力を受けるようにしましょう。そして、横に押されたら、その方向に腰部を動かしましょう。すると、上半身の姿勢が真っ直ぐ保たれたまま、横に体を動かすことができます。

 

 

 

 横に動くとき
今回は、人に押してもらったときを想定しましたが、一人の場合は「横方向に動く」ときに腰が重要になります。通常、横に動くときは、どちらかの脚を蹴って助走をつけながる動きます。しかし、そのようなことをせず、上半身を真っ直ぐに保って少しだけ頭部を斜めに傾けます。

 

そして、少し体が横に動き始めた瞬間に「腰」から体を動かすようにしましょう。これによって、脚や上体に余計な力みなく動くことができます。
 
 触れた腕を前に持ってかれたとき
まず、あなたが上半身を真っ直ぐにして、方腕を前に出します。次にもう一人の人が出された腕の掌に手を合わせます。

 

そうして、もう一人の人がその手を動かしてその動きに合わせてあなたがついて行こうとします。そのときに、手だけでついていこうとすると、体が崩れてしまいます。あるいは姿勢が崩れてしまうため、すぐについていけなくなります。

 

そこで、ついていくときに「手」でついていくのではなく「腰」でついていくようにしましょう。腕や手には力を入れず、腰でついていくようにします。すると、常に自分の姿勢が崩れないように、ついていくことができます。

 

 

 

 前に動くとき
上記に述べたような動作を一人で行うときは、「前に進む」動作になります。通常であれば、前に進むときに上体を前に倒したり、脚でけったりして前に進む推進力を生み出そうとします。しかし、このようなことを行うとかえって姿勢が崩れてしまう可能性があります。

 

そこで、前に進むときは、上体を傾けず、ほんの少しだけ倒すくらいで問題ありません。そこから、脚や肩を力ませず、腰から動くようにしましょう。このときに、首関節は自分が意識で問題ありませんので、斜め上方に伸ばすように意識し続けます。すると、ほとんど力みなく歩き動作を行うことができます。

 

このように、全スポーツの運動動作を行うとき、腰を起点に動くようにすると上体の姿勢が崩れにくくなります。さらに、運動で余計な力みが少なくなるため、怪我の予防や運動動作の向上につながります。

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