運動スポーツにおいて筋トレが怪我につながる肩と胸の筋肉

各スポーツのパフォーマンスアップやケガの予防のために、筋トレを行うことは大切です。正しく効率よく筋トレを行えば、怪我の少ない身体を身につけることができます。

 

体のあらゆる筋肉のトレーニング法は公開されており、各スポーツに必要な筋肉もわかっています。そのため、それぞれの競技に合わせた筋トレを行うことができます。

 

ただ、多くの筋トレの教科書には、実際に鍛えたことによるスポーツ動作への影響についての考察や説明がほとんどありません。そのため、教科書の内容をそのままにあらゆる筋肉を鍛えると、かえって身体のバランスを崩して怪我につながる恐れがあります。

 

ここでは、スポーツにおいて、怪我につながりやすい筋肉について解説していきます。
 
 「肩」と「胸」の筋肉は多くのスポーツ動作で怪我につながりやすい
ほとんどのスポーツに共通して使われる筋肉を分析し、肩と胸周りの筋肉は基礎的な筋トレとしてよく紹介されています。筋トレの教科書を見ると、最初のページに腕立て伏せとベンチプレスのやり方が書かれています。

 

この筋肉の特徴は、トレーニングするとすぐにつくことです。多くのスポーツ雑誌やダイエット本の筋トレ特集は「大胸筋(だいきょうきん)を鍛えて胸板を厚くしよう」といった言葉がうたい文句になっています。

 

確かに、肩と胸周りはあらゆるスポーツ動作で使われる筋肉です。しかし、あなたが怪我しにくく動きやすい体を身につけたいのであれば、この二つ部位の筋肉を必要以上に強化することはやめるのをお薦めします。

 

その理由は、肩や胸周りに筋肉をつけると、姿勢が崩れやすくなるからです。

 

肩や胸の筋肉をつけすぎると、上体の体重が重くなって背骨が反りやすくなります。その結果、腰回りに負担がかかり、腰痛などの怪我のリスクが高まります。

 

さらに、肩周りや胸の筋肉をつけると、投げる動作など腕の動きが悪くなります。これは、負担なく腕を振るために必要な「内側に回旋する動作」そしにくくなるからです。

 

さらに、この二つの筋肉を鍛えると、練習後に体が回復しにくくなります。肩と胸の筋肉は瞬間的に多くのエネルギーを発する動作には向いていますが、すぐに疲労してしまうという短所があるからです。

 

例えば、野球の世界で、イチロー選手は日本野球時代、胸周りの筋肉を徹底的に鍛え、全身の筋力を高めていました。高い成績を残して、個人タイトルも取っていましたが、本人は「年々体が衰えていくのがよくわかる」と話していました。

 

そこで、大リーグに入ってからは、筋トレの方法を変えました。日本野球時代ではベンチプレスで胸を鍛えていましたが、それをやめました。すると、体の回復度や体調が良くなったと話していました。

 

海外サッカーにおいて、インテルナツィオナーレ・ミラノでチームに貢献した長友佑都選手も、筋トレを取り入れた初期はバーベルを使って、胸周りの筋肉を増やしていました。その結果、大学時代は極度の腰痛に悩まされ、引退の危機までさらされました。

 

弓道の世界でも、同様のことがいえます。弓を引くのは一気に大きな力を出すために、弓を引くのは「大胸筋(だいきょうきん)」を使って引く方が効率がよいと話している人がいます。しかし、弓は胸の力を使わない方が、精神的にも身体的にも負担がかからないことがわかっています。

 

このように、肩や胸周りの筋肉は鍛えやすいですが、さまざまな怪我のリスクを持っています。もし、強化したいのであれば、運動パフォーマンスや身体の回復度に影響が出ない程度に抑える必要があります。

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