弓道での弓の握り方から、スポーツ技術を向上させる道具の使い方を理解する

スポーツ上達のためには、モチベーションやメンタルを強化することが大切です。より強いメンタルを持つためには、体や道具に対する考え方を変える必要があります。

 

スポーツ心理学の世界では、運動動作の上達に欠かせない考え方で「アフォーダンス理論」と呼ばれる理論があります。スポーツにおけるアフォーダンス理論は「試合の状況」「道具」「相手」など時によって異なる様子や状況を判断し、その環境に適した行為を行うことです。

 

ここでは、「道具」の使い方を劇的に変える方法の説明に効果的な弓道の弓の握り方から、運動動作の上達に必要な「アフォーダンス理論」のスポーツへの応用方法を解説していきます。
 
 弓道での体の使い方から運動技術の向上のヒントをつかむ
弓道では、的に当てることが最終目標ですが、弓を引く動作を極限まで極めた射手は、体の動きではなく「弓」に目がいくようになります。

 

明治以降で伝説を残した弓道家は、弓を引くときには、「筋肉を自由に動かし、弓を自由に働かせなさい」と説明します。

 

物理的に考えると、弓を押し開くためにはそれだけパワーや筋力が必要です。しかし、この言葉を残した弓道家はそうした力をまったくいれず、一般人の3倍以上の強さがある弓を引いていました。

 

私自身、人より強い弓を引いているため、弓を引くときの考え方を体でなく「弓」に着目しているのはうなずける部分があります。なぜなら、弓を視点に引く動作を考えると、あらゆる体の使い方が変わるからです。

 

このときのキーワードは「弓との接点を減らす」ことです。弓を引くとき、強い弓であるほど、通常は押す力を大きくしないといけないと考えがちです。しかし、その思考では、押せば押すほど弓の抵抗力が増大し、力負けしてしまいます。

 

そこで弓を引くとき、あえて拳や腕に力を入れないようにします。すると、腕や拳に力を入れたときより格段に楽に大きく引くことができます。私の体験としては、掌で軽く丸い球体を作るようにして、弓と掌の間に薄皮一枚を空けるイメージで引きます。

 

弓の抵抗力に負けないように強く押そうとすればするほど、拳に圧力がかかり、人は弓の強さを感じます。しかし、掌と弓の間に隙間を空ける(接触面を減らす)と、たとえ重さが2倍になっても掌に圧力を感じることはありません。弓が掌の握る力に干渉されることなく、自由に働いている状態になります。

 

その結果、少ない力で強い弓を引くことができます。初めて体験したときは「これだけ少ない力でこの弓が引けてしまうのか」と困惑したほどです。

 

 道具の握り方を軽くすることで運動技術が向上する
弓道での弓の握り方はスポーツでの「道具」の使い方に関連しています。スポーツにおいては道具や試合を行う場所など人の体と接する場所が存在します。

 

それらの接触を軽くすることで、体の動かし方のとらえ方が変わります。

 

野球の世界でもボールやバットを今よりも軽く握るようにしましょう。すると道具の重さや負担が少なくなり、動作の考え方が変わります。

 

野球の世界では、うまい人ほどスイング動作に無駄がなく、掌にできるマメが少ないです。サッカーで優秀なドリブラーであるほど、ボールとの無駄な接触が少ないです。マラソンでも、地面に着地するときの足裏の接触面を変えると、走りやすさが変わります。

 

逆に言えば、そうした意識がない人は必要以上に道具を握ったり頼ったりして、道具本来の働きを阻害していともいえます。このように体と道具との接点を少なくすることは、スポーツの上達に多いにつながる考えであるといえます。

 

スポーツにおいて、道具や体の接する部分があれば、握りを軽くしたり接触面を少なくしたりしましょう。運動動作のとらえ方が変わり、今までより運動技術やパフォーマンスを向上させることができます。

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