フロー状態によって運動技術を向上させ、一流選手を育てる監督術

スポーツにおいて、選手が一流の成果を残すためには、指導者が大切な役割を担っています。

 

一流選手はみな、「実力が向上する心の持ち方」を実践しています。これを理解して、指導者が選手の育成に取り入れることで、選手が高い運動技術を身につけることができます。

 

ここでは、選手が運動技術を上げる心の持ち方と、そのために指導者がやるべきことを解説していきます。
 
 人が最も運動技術が向上する「フロー状態」を理解する
選手が圧倒的な成果を残すためには、自主的に多くの練習する必要があります。練習する動機が「練習しないと怒られるから」といった外からの圧力では、実力向上に結びにくくなります。

 

自分自身で明確な目標を立てて、それに向けて自分の行っていることに集中している場合、人は何も考えていないときより大きい達成感を得ることができます。心理学の世界では、これを「フロー状態」と呼んでいます。

 

フロー状態に入ると、たとえ厳しい練習をしても楽しさや満足感を感じるようになります。達成感が積み重なると「学習意欲」「実行欲」「創造性」が高まっていきます。練習量を進んで増やしたり、試合などの実践に積極的に取り組むようになったりします。つまり、人より何倍もの経験をストックするようになります。

 

結果として上達のスピードが加速し、一流レベルの実力を身につけます。世界大会で戦える能力は、「フロー状態を体感できるかどうか」にかかっています。

 

トップアスリートはフロー状態を必ず体験しています。夢を持っている自分を想像するのが楽しくなり、モチベーションも長続きします。厳しい練習が続いても、フロー状態に入ることができれば、練習を進んで毎日行うようになります。これにより、人より何倍もの結果を出せるようになります。
 
 指導者がやるべきことは選手を見守ること
フロー状態は監督が選手に教えてできるようにはなりません。あくまで選手が自主的に高い目標を持って練習を取り組むようにならないといけません。そのため、指導者は選手がのびのびと練習できる環境を作ることが大切です。

 

そこで、指導者は選手が意欲的になるために、練習を見守るようにしましょう。選手の意見や考えにしっかり耳を傾けて、尊重するようにします。選手の気分が落ち込んでいるときは、気持ちを汲んでフォローするようにします。これにより、選手一人一人が奮起し、チーム力や個人のパフォーマンスが高まっていきます。

 

厳しく注意したり、ダメな部分を指摘したりすることが指導であると多くの人は思いがちです。しかし、それだけでは、選手がつらくて厳しい練習を「耐える」思考に切り替わってしまいます。これでは、積極的に行動するための考えや取組みは生まれません。

 

練習するのが楽しくなって、上達していくように選手を勢いづけることが大切なポイントです。そのため、選手一人一人が練習に取り組むようにサポート役に周るようにします。

 

フロー状態をうまく活かした監督の代表例として、サッカー日本女子代表の佐々木則夫が挙げられます。ワールドカップの決勝のPKでキャプテンである澤穂希選手が「PKは苦手だから最後にしてください」と話しました。

 

すると監督は「わかった」とあっさり了承しました。もし、普通の監督であれば「重要な場面でキャプテンのお前が何を言っているんだ、びしっと決めて若い選手に手本を見せろ」と言ってもおかしくありません。

 

この場面だけでも、佐々木監督が普段から選手一人一人に目線を合わせて指導していることがわかります。その結果、ワールドカップで見事、金メダルに輝きました。

 

選手が一流レベルの実力を身につけるには「フロー状態」を体験する必要があります。そのために、監督は選手の目線に合わせて、見守るようにしましょう。

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