口や舌の動きを改善すれば、内臓全体の緊張が緩和する
スポーツにおいて、動作改善や怪我の予防をするためには、体の器官と運動への影響を理解しなければいけません。
運動において、疲労感が生じる原因は筋肉以外に「口」があります。口は体中の内臓器官と大きく関係する重要な器官です。この部位の使い方を理解することで、今よりスポーツ動作を向上させることが可能です。
ここでは、スポーツ動作を改善する「口」の使い方を解説していきます。
人は言いたいことを我慢すると口が固くなる
多くの人は口が緊張することによる体の影響を知りません。ここでは、「口が緊張する」ことを感じる実験をしてみましょう。
まず、姿勢をまっすぐにして肩や首を楽にしてみましょう。
次に、気に入らない人に対して何か悪口を言われたとします。しかし、その人が上司や社長のため、本当は言い返したいけど、言い返せない状況であるとします。そのときの「舌」に注目すると、固まって緊張しているのがわかります。この舌の緊張は、下アゴのこわばりにもつながっていきます。
人は言いたいことを言えないで我慢していると「舌」が緊張して固まります。舌もアゴも固まりっぱなしだと、それを我慢していることすら気づけなくなります。
舌は細かい筋肉が寄り集まってできたものです。言いたいことを言わずに我慢して、自分を表現することを制限していると、舌は固まります。舌を意識的に動かすこともないため、舌は固まったままで、動くという感覚を忘れてしまいます。
そして、舌の緊張により、ノドが固まります。これにより、首全体の筋肉に緊張が伝わります。首が固くて違和感がある人は舌をゆるめると首を楽にする助けになります。
舌を含む口は「〜食道〜胃〜十二指腸〜小腸〜大腸〜肛門」とつながる消化器の入り口になっています。胃腸の調子が悪いと口が荒れたりすることからも、口が内臓の一部であると実感できます。そして、口が緊張すると内臓全体にそれが伝わります。
胃の消化活動が悪くなると、食生活が変わり、お腹がすいているのにご飯を食べれない状態になる可能性があります。すると、イライラしやすくなったり、心が落ち着かなかったりします。
スポーツ練習で首や肩に疲労感が出たり、気分がすぐれなかったりする人は筋肉が疲れているのではなく、体の中に疲労がたまっている可能性があります。
他に、アゴや舌にぐっと力を入れて前屈運動を行うと、何もしていないときに比べて、柔軟性が下がります。逆に、舌を出しながら息を吐いてリラックスさせて前屈を行うと、自然とより深く屈むことができます。これは、舌をリラックスさせるとお腹の深いところがほぐれるからです。
舌を緊張させると、お腹周りの筋肉の緊張につながります。何も気づかず、口周りの筋肉がこわばった状態で運動動作を行えば、体の奥の緊張がとれていないため、すぐに疲れたり動作が悪くなったりします。
口をゆるめる舌の使い方
そのため、体の奥底の力みをとるために、口周りの筋肉をゆるめる必要があります。その中で、てっとり早く口をゆるめる方法として「舌を引っ張る」ことが挙げられます。
自分の下を指でつかみ、外に引っ張り出します。その完全に引っ張りきった状態で10〜20秒程度静止します。次に、舌を上下左右あらゆる方向に引っ張り、舌の筋肉を伸ばします。
そして、引っ張った後に舌を動かしてみましょう。何もしていなかったときに比べて舌が動かしやすくなるのがわかります。これは、舌の筋肉の凝りがとれたことを意味します。舌の筋肉の緊張がとれると自然とアゴまわりもスッキリする感覚を得ることができます。
特に、胸やお腹など身体の前側の緊張が強くて疲れやすい人は、口周りをゆるめることをオススメします。
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